4 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 21:27:05.56 ID:px5ziGJ/0
その後、圭一達は本家の部屋に呼び止められた。
そこで茜に今日あったこととは他言しないようにと釘をさされる。
これには誰も反対しなかったため、話はすぐに終わる。
茜はお茶でも飲んでいけと言い部屋から出て行った。

圭一達は露伴が戻ってくるまで待つと言ったが、魅音に止められる。
圭一達が露伴と会っても、謝りつづけて気まづくなるだけだからだ。
結局、明日から何もなかったように接したほうがいいという話になり一同は解散となった。
圭一とレナは家へと帰り、沙都子だけが露伴の帰りを待つことになる。

沙都子は詩音にかまってもらいながら露伴を待っていた。
やがて露伴が病院から戻ると、葛西に送られて沙都子と露伴も帰るのだった。

7 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 21:28:16.04 ID:px5ziGJ/0
家に戻った露伴は久しぶりに沙都子の作る夕食を食べる。
露伴は左手が使えないのが大変そうだったが、それを世話する沙都子は楽しそうだった。
夕食のあと、痛み止めのせいか、露伴は眠いと言ってすぐに布団に入った。
沙都子も今日一日の疲れのため、早めに床に就くことにした。

二人が寝静まったあと、梨花は羽入に話しかける。

梨花「久しぶりね、羽入。
   あんたと1日以上も顔をあわせないなんて、ここ百年で何回だったかしら。
   それで、明日も祟りは起こるのかしら?」
羽入「残念ながら、ロハンも今のところは何もできていないのです。」
梨花「急に左手を怪我して帰ってきたけど?」
羽入「あぅあぅ。とっても痛そうだったのです。」
梨花「何があったのか、教えなさいよ。沙都子は知ってるみたいだし。
   私だけ蚊帳の外っていうのは気に食わないわ。」
羽入「わかったのです。木曜の夜はですね・・・」

9 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 21:29:23.55 ID:px5ziGJ/0
羽入は梨花に木曜の出来事から順に説明していく。

ここでは金曜の朝からの話をしよう。

金曜の朝、露伴は園崎家の手伝いに起こされた。
朝食が部屋に運び込まれていて、ご馳走になった。
露伴のいる部屋の周りには何人かの人の気配がしており、
露伴が逃げ出さないよう控えているようだった。

そのうち、茜が部屋を訪れ、お魎がいないことを告げる。
用事で朝からいないため、夕方くらいまでここで待てとのことだった。
露伴は素直に従った。羽入には露伴の真意がわからず、抗議をする。

羽入「ロハン、夕方までここにいては入江との約束の時間に間に合わないのです。」
露伴「そんなことはわかってるよ。」
羽入「それじゃあどうするのですか?」
露伴「あきらめるだけだよ。」

11 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 21:30:58.88 ID:px5ziGJ/0
羽入「あぅあぅ。やる気があるのですか?」
露伴「あのなぁー。やる気の問題じゃないんだよ。
   もし無理にここを抜け出したらどうなるか考えてみろよ。」
羽入「抜け出したら・・・ですか?」
露伴「あぁ、約束があるから出してくれと言っても出してくれないだろう。
   僕はオヤシロさまの祟りを知っていると思われてるんだからな。」
羽入「あぅあぅ、よくわからないのです。
   ロハンならここから抜け出せるだけの力はあるのです。」
露伴「たしかに、能力を使わなくても抜け出せるだろう。
   だが、穏便には済まない。本家から出ても自転車すらない僕はどうする。」
羽入「山を逃げて診療所まで行けばいいのですよ。」
露伴「僕が診療所に行くまでに情報が回ってるだろう。
   この村なら園崎家が捕まえろと連絡すれば誰もが協力するからな。」
羽入「入江は、かばってくれると思うのです・・・。」
露伴「もしそうでも、鷹野には接触できないだろうな。
   約束の時間までにお魎を説得できない限り、僕は鷹野には会えないんだよ。」
羽入「あぅあぅ・・・。」
露伴「仮に鷹野に会えるとしても、園崎家を相手に問題を起こせば今後の行動は制限される。
   鷹野に接触しても真相を暴けなかった場合、かなり困ってことになるぞ。」

それ以上反論できなかったので、しかたなく羽入は露伴とお魎を待つ。
そのまま入江との約束の時間は過ぎた。

48 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 22:28:26.74 ID:px5ziGJ/0
やがてお魎が帰ってきたということで、お魎の部屋に通された。
部屋には茜とお魎だけがおり、露伴が入ってくると茜も部屋を出た。

お魎「おまえん言うこと聞いて二人っきりにしたったんよ。
   今日は話してもらうんね。」

部屋に残された露伴にお魎が言い放った。
露伴はお魎のそばに近づき、茜が昨日やっていたようにお魎に話しかける。

露伴「二人っきりとは言うけど、こうしてヒソヒソ声で話さないと、
   そとの怖い人に聞こえちまうじゃあないか。」
お魎「あぁん?なぁんね、誰に向かって口聞いとんと思っとるんッ!!」

お魎は怒りをあらわにする。
しかし、露伴は不敵な笑みをしたまま言い放った。

露伴「僕は"オヤシロさまの使い"だからね。無礼なのはそっちじゃないかい?」

51 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 22:29:47.12 ID:px5ziGJ/0
お魎「なぁん言うとん、だぁれがオヤシロさまの使いなんね?」
露伴「宗平と初めて****は*****だろう。」

露伴のその言葉にお魎は驚きを隠せなかった。

お魎「なぁんとそれを知っとるんね。」

お魎が鋭い目つきで露伴を睨みつける。
露伴はニヤリと笑い、答えた。

露伴「僕が"オヤシロ様の使い"だからだよ。
   他にも、****が******で*****だったことだって知ってるぞ。」
お魎「・・・。」

お魎もこれには黙るしかない。
なぜこの男がそんなに過去のことを、そしてお魎しか知りえないことを知っているのか。
まったく見当もつかなかった。

露伴「もっと詳しい話もしたいんだが、僕はアンタ以外に聞かれたくないんだ。
   ここより人に話を聞かれない場所はないのかい?そこに案内してくれれば何でも話すよ。」
お魎「おう、誰ぞッ!誰ぞおらんね?」

お魎が外の男を呼びつける。
そして茜を呼び出し、地下祭具殿へと移動することとなった。

69 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 22:54:49.49 ID:px5ziGJ/0
露伴が茜に連れられて祭具殿に入ったときには、すでにお魎は中に入っていた。
お魎のための布団も運び込まれ、座敷で待ち構えている。

露伴が座敷に上がると、茜に出て行くようにお魎が命じた。
それを受け、茜は部屋から出て行った。部屋に残ったのは露伴とお魎だけになる。

露伴「あんたも大変だね、いろいろと筋を通さないといけないのがさ。
   二人っきりなんだし気楽にやろうぜ。」
お魎「はっはっはっはぁ!オヤシロ様の使いはなぁんもお見通し言うことかいね。」
露伴「そりゃあ、昨日あれだけしといて、今日はころっと二人であってくれるなんて、
   親族の目を気にしてるとしか思えない。僕の時代だとそういうのも流行ってるんだがね。」
お魎「時代・・・?年寄りにはよぉわからんて説明しとくれぇな。」
露伴「あぁ、すまない。僕はね・・・」

露伴は自分が未来から来たことを明かす。
オヤシロ様に呼ばれて未来から来た存在だと。
また、見えない羽入の存在もお魎に説明する。
先ほどからのお魎の過去の話もすべて羽入が知っていたことだった。

お魎も最初は疑っていたが、途中で信じざるおえなくなる。
さらには露伴が中継して羽入と話をさせた。
お魎は露伴をオヤシロ様の使いと認め、オヤシロ様と会話できることをとても喜んだ。

86 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 23:13:22.96 ID:px5ziGJ/0
羽入「お魎は僕に座布団を敷いてくれて、お茶も入れてくれてとっても優しかったのです。
   こんど梨花に甘いものを食べさせるようにも頼んでおきましたのです。」

羽入のその態度に梨花は飽きれるしかない。
だが、そうなると話はタダでは済まない。
最も気になることを聞いてみる。

梨花「それじゃあ、アンタたち、お魎に全部話したの?」
羽入「それはロハンがうまくやったのです。
   診療所のことと雛見沢症候群のこととかは話してないのですよ。

   うーん・・・あとは、ロハンがなにか封筒に入れた手紙を渡していたのです。
   綿流しが終わってから開けるようにって。僕が未来から来たことを証明する手紙だ、とか言っていたのです。」
梨花「ふーん、多分5年目の犠牲者ね。それで?」
羽入「お魎は僕たちのことを信用してくれたのです。
   他の誰にも話さないという約束もしてくれましたです。」
梨花「オヤシロ様の使いと信じさせたなら、他の人には話さないでしょうね。
   それで終わり?なんで今日まで帰ってこなかったのよ。」
羽入「僕にはよくわからないのですが、お魎の立場があるらしいのです。
   ロハンのことを親族に話さない以上、ここまで大きくなった騒ぎをどうのこうのって。
   それで、綿流しのお祭りが終わるまではロハンは地下祭具殿にいることになったのです。
   僕にはいまだに何でなのかよくわからないのですよ。あぅあぅ・・・・。」
梨花「・・・あんた本当にばかね。それで何で今日帰ってきたのよ?」
羽入「あぅあぅ・・・。それはですね・・・」

95 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 23:38:34.28 ID:px5ziGJ/0
露伴は地下祭具殿で夜を過ごした。
お魎は夜は本家に戻ったが、次の日の朝から再び露伴の下へと来ていた。
お魎と露伴、そして羽入を交えた3人で会話をする。

お魎は今は年老いたとはいえ、園崎家をここまで発展させた頭首だ。
その頭首のこれまでの活躍を聞くことは、露伴にとっても興味深いものだった。
もちろん、漫画のネタとして興味深い、ということなのだが。

そのお魎の昔話に、ところどころで羽入が突っ込みを入れる。
羽入は千年以上もの間、梨花以外とは会話をしたことがない。
その羽入にとって、この3人でお喋りをするということはとても楽しいことだった。

その3人の時間も終わりを迎える。
祭具殿の入り口のほうから叫び声が聞こえてきた。

「露伴さんッ!どこだー、露伴さーんッ!」

その声を聞き、3人の中で露伴だけが事態を理解した。

96 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 23:39:58.04 ID:px5ziGJ/0
露伴「来るかもしれないとは思ってたんですがね、お迎えが来たみたいです。」
お魎「どーいうこっちゃね?なぁん起きとるんかさっぱりわからんね。」
露伴「おそらく、魅音ちゃんとその友達が僕を助けに来たんでしょう。
   いまのは圭一くんの声だ。」
お魎「圭一ぃ?あぁん、前原んとこん坊主かいな。
   あの前原っちゅぅ家はあかんね。雛見沢に引っ越して来たんにうちに挨拶のひとつもせん。」
露伴「ははは、今度言っておきますよ。」
お魎「そいじゃ露伴さん、お別れだのぉ。
   子供たちに食ってかかられたいぅんなら、まぁなんとかなるじゃろ。」
露伴「そうですね。子供たちが入ってきたら、うまく立ち回りましょう。」
お魎「オヤシロ様も、お話させてもろて、ほんにありがたやぁ。
   わしにお迎えが来よったら、ぜひ枕元に立っとってくだされぇ。」
露伴「確かに、お迎えのときなら顔を拝めるかもしれない。ははは。」
お魎「ふぇっふぇふぇ。」

既に圭一達が拷問部屋の扉を開ける声が聞こえている。
露伴がしっかりと正座しなおすと同時に、大きな扉が開かれた。

103 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/14(月) 23:52:42.94 ID:px5ziGJ/0
羽入はその後の説明も続ける。
だが、梨花の興味はもう失せていたが一応聞き続けた。


羽入「それで露伴がケジメをつけるって言って爪を剥がしたのです。」
梨花「あの怪我は爪だったの。」
羽入「そうなのです。園崎家が圭一達に不利益をしないっていう約束をしてたのです。
   それで沙都子がどうとか言ってたのですが。」
梨花「なるほどね。沙都子を村八分から救うためにわざわざ爪を剥がすなんて、手の込んだことをするわ。」
羽入「ロハンは爪を剥がすのが取材になるとかなんとか言っていたのです。
   漫画に必要なのはりありてぃだ、とかなんとか。」
梨花「まぁ、そんなのどうでもいいわ。
   とりあえず、明日はいつも通り綿流しってことね。」
羽入「はい・・・いつも通りなのです・・・。」


いつも通り富竹と鷹野が死ぬ綿流しが来る。
梨花も羽入も、露伴を呼んだことも何の意味もなかったと思った。
こうしての綿流しまでの最後の夜は終わった。
150 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/15(火) 00:33:41.46 ID:JbuH9nQq0

■TIPS

----深夜・園崎本家----

綿流しの前日には決まって宴会が行われる。
今年もいつもと同じ顔ぶれ、村の役員と村長の公由、
それに園崎家の何人かが集まっていた。
既に宴会は始まり、魅音も詩音も混ざって騒いでいる。

公由「あぁ、そういえばお魎さん。」
お魎「あぁん?なんね?」
公由「漫画家さんが来るって言ってたよね。
   あの人、今日の打ち合わせにも来てないんだけど大丈夫なのかい?」
お魎「あぁん、露伴さんのこっか。
   今日うちに来たんよ。左手を怪我した言うたってなぁ。
   どないしよかっちゅう話をしとったんよ。」
公由「そうだったのかい。じゃあその出し物は中止かねぇ?」
お魎「沙都子ちゃんが露伴さんの左手代わりに紙もってくれるっちゅう話じゃ。
   すったらん、右手で絵は描けるんね。」
公由「沙都子ちゃんって、あの北条の?
   い・・・いいのかい?お魎さん。」
お魎「子供に北条も園崎もあらんね。
   村の子が祭り手伝どぅてくれる言ぅんやったらえぇ話やんね。」
公由「そ、そうだね。それじゃあイベント部の人にもそう伝えておくよ。」

公由はお魎と話し終えると、魅音や茜にも何があったのかを聞いてみる。
しかし皆はぐらかすばかりで何があったかは教えてくれなかった。

結局、何があったのかはわからなかった。しかし雛見沢の情報の伝わるスピードは早い。
翌日の午前中までには村中に、お魎が沙都子を許したという噂だけが流れるのだった。

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