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5 名前: ◆UuZF2thJYM [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 00:44:27.54 ID:sjX/wdi/0
「全く…温暖化なんて世間じゃ騒いでるけど、こんなに夏ってのは暑かったかねぇ」
蝉時雨の過ぎ去る夕刻。
季節はずれの真っ黒な着物を着込んだ妙齢の女性が、だらしなく畳の上に寝転がりながら愚痴る。
「俺達の子どもの頃は、もっと涼しかったように思うけどなぁ。
 あの頃の雛見沢は、もっと気温が低かったのかもしれないぜ」
隣の部屋からかけられた声に、そうだねと女性は一言返す。
その声音には、あの頃を懐かしむ色があった。
自分がまだ、あの古い合掌造りの家に暮らしていた頃。世界は暑さなど感じさせなかった。

寝転がったまま、彼女は自分宛に今日届いた郵便物を物色し始める。
そろそろ、綿流しのお祭りも近い。主要な連絡の書類の入った封筒が、毎日のように届いているのだ。
そんな茶封筒の山にそぐわぬものが、彼女の目にふと止まる。
上品なレターセットを使ったその手紙を取り上げた瞬間、彼女の目は大きく見開かれた。

「え…?嘘でしょ…?」

思わず女性の手から取り落とされた手紙。
白い封筒に漫画キャラクターの切手が貼られたその手紙の差出人には、
返信先の住所と共にこう書かれていた。

―岸辺露伴、と。

6 名前: ◆UuZF2thJYM [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 00:45:28.08 ID:sjX/wdi/0
「け…圭ちゃぁぁぁん!ちょ、ちょっと来てぇ!」
「お前、その呼び方はやめろって言ってるだろ!…どうしたよ。ゴキブリか?」
隣の部屋から響くのんきな声。…ああもう!その温度差はなんなんだ!
軽い苛立ちを感じながら手紙を拾い上げ、彼女はもう一度大声で呼ぶ。
「ろ、露伴さんから手紙がきたぁぁッ!」
何だよ、どうしたってんだ、等とつぶやきながら、彼女の夫が部屋に入ってくる。
そして彼女の手から手紙を受け取り、封筒の表紙を見る。

その瞬間、彼の顔つきが変わった。

「ろ…露伴さん?マジであの露伴さんかッ!?」
「わ、わからないけど…でも!そんな名前の人、ほかにいる!?」
宛名に『園崎圭一様 魅音様』と書かれている封筒を圭一は焦りながら開け始める。
その様子を彼女―園崎魅音は食い入るように見つめ、便箋が開かれると同時に圭一と顔を並べて覗き込む。
そこには、少し字体の傾いた字が並んでいた。

7 名前: ◆UuZF2thJYM [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 00:46:14.72 ID:sjX/wdi/0
―久しぶりだね。昭和58年、1983年からだから実に25年ぶりということになるかな。
 結婚したんだって?おめでとう。式に行けなかったのは残念だったよ。
 もし披露宴に行けていれば圭一君のあんなことやこんなことが暴露できてとても面白かったろうにね。

「だぁぁぁぁぁっ!詩音や沙都子にそれは散ッざんやられたわぁぁぁぁっ!」
「…いやぁ、本当にね。ある意味、一生モノの結婚披露宴だったわぁ…」

―積もる話もあるし、今度一度鹿骨市の方に行こうと思っている。
 雛見沢にはお祭の時にお邪魔させてもらおうと思ってるよ。
 君たちが世話役をしているお祭りなら楽しめそうだしね。
 そうそう、最近の僕の漫画は読んでくれてるかい?是非お二人の感想を聞いてみたいと思う。

そこまで読んで、彼らははたと気がついた。
岸辺露伴。漫画。…ピンクダークの少年!
「何で…私たち、気がつかなかったの…?」
「そうだよ…!何でだよ…!」
単行本なら…全巻、本棚に入っているのに!何故、忘れていられたんだ!

8 名前: ◆UuZF2thJYM [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 00:47:15.74 ID:sjX/wdi/0
彼らは手紙を持ったまま、本棚の前まで走る。
現在、第7部を連載中のピンクダークの少年。
漫画好きなところは昔から変わらない魅音が、ずっと、ずっと、このシリーズを収集していたのだ。

「こんなに…こんなに近くに露伴さんはいたんだ…」

何故だろう。何故、思い出せなかったのだろう。
痛恨の悔恨が、二人の胸を締め付ける。魅音の目からは…涙があふれた。
圭一はそれを見やりつつ、便箋に目を落とす。そして、驚いたように魅音を呼ぶ。

「はは…露伴さん、マジかよ…」

便箋の続きには、こう綴られていた。

9 名前: ◆UuZF2thJYM [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 00:48:37.54 ID:sjX/wdi/0
さていきなりここで分岐します

A「―部活の皆にも僕は手紙を送った。個人的には、皆に会えるととても嬉しい。」
B「―この手紙のことは、ほかの皆には内緒にしてほしい。二人が約束を守ってくれると信じている。」

>>14に二択で今後の展開を決めてもらおうかと思う

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/01/13(日) 00:52:30.55 ID:SbC3c3PaO
>>11
書きこんでから無粋と気が付いた。スマソ
安価なら

16 名前: ◆UuZF2thJYM [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 00:55:29.54 ID:sjX/wdi/0
―この手紙のことは、ほかの皆には内緒にしてほしい。二人が約束を守ってくれると信じている。

「どういうこと?露伴さん、私たちにだけ連絡したいのかな…」
「わからないが…とにかく、黙ってよう。詩音にもだぞ」

―お祭りの前にまた連絡しよう。手紙なんて前時代的な連絡手段を使ってすまなかったね。
 手紙にメールアドレスを記してあるから、そこに一通出してくれれば非常に助かる。
 では、お祭りの日に、また。

                           XXXXXXXXXX@XXXX.XX.jp
                                  岸辺露伴

すぐに圭一がPCでメーラーを開き、メールを作成し始めた。
魅音はそれを見つめながら、そっと手紙を持った手に力を入れる。
まるで、そうしないと露伴が逃げ出してしまうように思ったから。

会いたかった、と魅音がぽろりと囁く。
俺もだ、と圭一が囁き返した。


岸辺露伴は動かない -雛見沢- 外伝2
            『過去からの手紙』
20 名前: ◆UuZF2thJYM [sage] 投稿日:2008/01/13(日) 00:59:39.04 ID:sjX/wdi/0
----TIPS----
「予感」

1983年、アメリカ―

「不審な手紙?」
「ええ、ジョセフ様と財団宛にそれぞれ一通ずつ。
 検査しましたが、何かしらの攻撃、更に波紋といったものではないようです」
「ふむ…一応見せてもらおうかの」

年齢を感じさせないこの老人は、男から受け取ったエアメールを開く。
そしてその内容を読みながら、途端に真剣な表情を見せ始めた。
そして最後まで読み、もう一度読み返して顔を上げた。

「…財団宛に届いたものは、まだ開封しておらんな?」
「はい。そのように警告されましたので」
「この手紙に書いてあるように処理してくれ」
「…はっ。かしこまりました」

それだけ言い、男は手紙を受け取る。そしてそのまま下がっていった。
老人はそのまま、深刻な表情で考え事を始めた。
…ため息をつきながら。

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