1 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 21:33:58.73 ID:R7cyGXHd0
世の中には知らないほうが幸せなこともある
誰にだって不幸は訪れるものだから

世の中には知らないほうが幸せなことが多い
私は普通の人より不幸なのだから

世の中には知らないほうが幸せなことしかない
私は世界一不幸な少女なのだから

              Frederica Bernkastel

君は知らないほうが幸せだ
なぜなら、結果はすでに記されているのだから

               Rohan Kishibe

2 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 21:34:44.96 ID:R7cyGXHd0
  2007年12月


----M県S市杜王町----


1Kのアパートの一室。一人暮らしだろうか?
そこは若い男の一人暮らしにしては片付いた小奇麗な部屋だった。

「ふぁーあ、もう4時か・・・昼寝にしては寝すぎちゃったかな」
むくりとベットの上で体を起こし、背伸びをした男は、時計をみて呟く。

まぁ、待ち合わせの時間まではまだあるし、軽くネットでもしようか。
そんなことを考え、その男はベットから出るとパソコンの置いてある机に向かった。
すると、机の上に置いた彼の携帯電話のランプが点滅していた。

おっと、誰かからメールか電話かな?
そう思い、彼は携帯電話を開いてみた。

不在着信有り
岸辺露伴

4 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 21:35:45.27 ID:R7cyGXHd0
彼は広瀬康一、23歳会社員。
10年近く前、この杜王町で起きていた連続殺人事件を解決したスタンド使いの一人だ。
だが、そんな彼もいまや成人し大学を卒業。平凡な社会人としての生活を送っていた。
岸辺露伴というのは彼の友人であり、この話の主人公である。
そう、こんなに出だしから目立っている彼、広瀬康一は主人公でもなんでもないのだ。

康一と露伴は先の連続殺人事件の時からの友人だ。
といっても、露伴が勝手に康一を気に入っただけなのだが、康一もこの付き合いの長い友人を悪くは思っていなかった。
康一が社会人になってからは、月に1,2度は二人きりで飲みに出かけるほどの仲である。
最近では露伴が破産した際に、康一のアパートに住み込むという事件もあったのだが、今回はそこには触れないでおこう。

この日の待ち合わせというのも、2週間ぶりに飲みに行こうという露伴からの誘いであった。

5 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 21:36:31.36 ID:R7cyGXHd0
露伴先生のことだから、急用ができたから待ち合わせを遅らせたいとかって電話なんだろうな。
まぁ、どうせ漫画のネタを思いついたからもう少し取材したいなんていう理由なんだろうけど。
あの人は約束は絶対に守る変なプライドがあるからな。今日飲みにいく事に変更はないだろう。
今回は奢ってくれるって言ってたし、絶対にドタキャンはさせないぞ。
まぁ、あんまり遅くなりそうなら、もう少し寝直そうかな?
そんなことを考えながら康一は着信履歴の露伴の番号に電話をかけるのだった。


とおるるるる とおるるるるる ぶっ
露伴『もしもーし?康一君かい?』
康一「あ、もしもし、露伴先生ですか?」
露伴『他の誰かに聞こえるのかい?君は僕の携帯にかけたんじゃあないのか?』
康一「もう、意地悪しないでくださいよ。ちょっと昼寝してて電話気づきませんでしたよ。
   何の用ですか?・・・っていうか電波悪いですか?変な音がしますよ?」
露伴『あぁ、今ね、新幹線に乗ってるんだよ。
   新幹線の中でも携帯って使えるんだな、便利なもんだ。』

15 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 22:02:03.03 ID:R7cyGXHd0
康一「新幹線って、露伴先生どこにいるんですか?今日飲みにいくんですよね?」
露伴『先生はやめてくれって言ってるだろ?露伴でいいよ、露伴で。』
康一「はぁ・・・、で?どこにいるんですか?飲みに行くんですよね?」
露伴『あぁ、そうそう、それなんだが、中止にしてほしいんだよ。
   今度飲みに行くときは奢るから、今回は勘弁してくれないかい?』
康一「えーッ!今回奢ってくれるって約束だったじゃないですかぁ?
   僕が彼女と別れたんでクリスマス前にフられた男の気持ちを取材させてくれって言ってましたよね?」
露伴『いやー、次の読み切り用にどうしても取材したいことができちゃってさ。
   描くって決めたらすぐに取材するのが僕のポリシーだから、いま新幹線に乗ってるってわけさ。』
康一「人に思い出したくないことを取材するのにドタキャンなんてひどいですよぉー!」
露伴『はは、ごめんごめん。読み切り描き終わったら、一番に康一君に読ませるからさ。
   それと2回飲みにいくの奢るよ。それでいいだろう?』
康一「前みたいに漫画にヘブンズドアー仕掛けといて読んだ途端にっていうのはやめてくださいよー?」
露伴『しないよ、しない。今回はいいネタが思いついてるからおもしろい漫画が描けると思うんだ。
   期待して待っててくれよ。』
康一「へー、露伴先生が自分で描く前から言うなんて珍しいですね。どんな漫画描くんですか?
   取材に行く場所も気になりますよ。おみやげ、忘れないでくださいよ?」
露伴『おいおい、2回の奢りに加えて、おみやげまで要求するのかい?
   ヤレヤレだぜって言うやつかな。
   まぁ、わかったよ。でも、おみやげなんてなさそうな場所なんだよなー。
   雛見沢っていう場所なんだけど、康一君聞いたことあるかい?』

19 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 22:18:36.89 ID:R7cyGXHd0
康一「名前くらいなら聞いたことがありますよ。
   なんだか数年前まで封鎖されていた村だとか、テレビでやってた気がします。」
露伴『康一君、社会人ならもっと勉強したほうがいいと思うよ?
   今から24年前、昭和58年の6月末に雛見沢村の沼から火山性ガスが発生して村が一晩で全滅。
   そのまま平成17年まで村は政府に封鎖されてたってわけさ。』
康一「24年前って言ったら、僕まだ生まれてませんよ!
   そんな事件があったなんて知らなかったです。でもそんな怖い話取材するんですか?」
露伴『怖い話だから取材するのさ。今回は大災害に関する漫画を描こうと思ってね。
   その他にも妖怪伝説のために雪国関係の取材がしたくてね。雛見沢って白川郷から近いんだぜ?
   まさに取材するのに打ってつけの場所ってわけさ。』
康一「あー、白川郷の近くなんですかぁ。僕も行きたかったなー。
   どうせなら連れてってくれればよかったのに。」

24 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 22:49:33.40 ID:R7cyGXHd0
露伴『おいおい、漫画家の取材ってのは観光じゃあないんだぜ?
   それに1週間くらいは泊まりで取材する予定だから、康一君は会社があるだろう?』
康一「一週間ですか?露伴先生にしては長いですね。
   このまえは海外に取材に行くって言ってたのに3日で帰ってきたじゃないですか。」
露伴『あれは、取材するものがひとつしかなかったからね。観光じゃあないって言ってるだろ?
   今回はさ、大災害に雪国に、もうひとつ面白そうな話があるんだよ。
   そいつはちょっと聞き込みとか取材が大変そうなんで1週間行く事にしたのさ。』
康一「へぇ、もったいぶらないでくださいよ。なんなんですか?その面白そうなことって?」
露伴『インターネットの風説でしかないけどね。
   34号文書とか、竜宮礼奈説とかって検索すれば出てくるよ。
   まぁ、漫画家の僕としては「オヤシロさまの祟り」って言い方が一番そそられるけどねぇ。』

28 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 22:57:44.20 ID:YPpwzICE0
康一「オヤシロさまの・・・祟り・・・ですか?」
露伴『そう、祟りさ。もし僕が取材から帰ってこなかったら』
ブツッ

ツーツー
康一『あれ?もしもし?露伴先生?電波悪いのかな?』
康一は携帯電話の履歴から再び露伴に電話をかけてみる。
しかし、彼の電話が露伴に繋がることはなかった。

29 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 22:58:31.10 ID:YPpwzICE0









岸部露伴は動かない−雛見沢−









32 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/18(火) 23:09:45.15 ID:kyb8+LnM0
----東海道新幹線客室内----


露伴『そう、祟りさ。もし僕が取材から帰ってこなかったら祟りってことに・・・
   ん・・・?トンネルに入ったのか。まぁ用件は済んだしいいか。』
それに、おもしろいタイミングで切れてくれたしな。
そんなことを考えながら露伴は携帯電話をポケットにしまった。

さてと、名古屋までは後どれくらいだろう?
名古屋からは行けるところまで電車で行って、今日はビジネスホテルにでも泊まるかな。
とりあえず電車に乗ってる間にもう少し「オヤシロさまの祟り」について考えておくか。
まだどこを取材するかきっちりとは決めてないしなぁ。

今後の予定を考えながら、露伴は新品のメモ帳を取り出した。
基本的に露伴は取材をしてもメモはとらない。話を聞いたときには漫画に必要なことは記憶されるからだ。
露伴はなんでもかんでもメモを取るやつが嫌いだったし、馬鹿なんだと思っていた。
だが、そんな露伴も今回の件にはメモが必要だと考えたらしい。まずは自分の知る情報を記していった。

露伴が思ったことをそのままメモに記していると、車内のアナウンスが名古屋への到着を告げる。

時間はまだ17時過ぎだったが、露伴は急激な眠気に襲われていた。
それもそのはず、昨日の夜にインターネットで雛見沢の話を見つけてから、露伴は一睡もしていないのである。
露伴は今日は名古屋のビジネスホテルに泊まることを決め、明日はレンタカーで岐阜に向かおうと計画するのだった。
56 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/19(水) 00:01:31.76 ID:+QGfPvLE0

■TIPS

----露伴のメモ----
雛見沢に関する情報

現時点でインターネットの情報をまとめた上での、
推測ではない客観的事実はこのくらいかな

・雛見沢の住人が一晩で全滅した
  この件に関する不審な情報はいまのところ見ていない。
  おそらく親族に遺体などは引き渡されたであろうから、住人が全員死亡したのは間違いないだろう。
・雛見沢大災害の前日に少女Aにより雛見沢の学校占拠事件が起きている
  少女Aの名前は竜宮礼奈と噂されている。事実かはわからない。
  学校占拠事件は実在のもののようだ。
  この事件の発端として34号文書というものが存在すると噂されている。
  そんなものが実在するのかはまったく不明だ。
  だが、34号文書の内容に関しては妙に多くの情報が流れてる。ちょっと気になるかな。

58 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/19(水) 00:02:56.35 ID:+QGfPvLE0
・雛見沢が20年以上も封鎖されていた
  ガス発生源の沼はコンクリートで埋め立てられているらしい。
  地質学的に意味がないという説があるらしい。
  それが本当かはわからないが、なんとなく正しそうに思える。
  そもそも埋め立てられた時期と封鎖の解除の時期があわなくないか?
  そう考えると、封鎖期間が不自然に長いって言うのも同意できるな。
・雛見沢で「オヤシロさまの祟り」と称される事件があった
  1979年にダム工事の現場監督が殺害される。
  1980年にダム賛成派の筆頭だった夫婦が事故で死亡。
  1981年にオヤシロさまを祀る神社の神主が急死(死因は病死)、妻が後を追って自殺したが死体が見つからない?
  と、3年連続で人が死んでいるらしい。
  しかもこれが毎年オヤシロさまを祀る「綿流し」という祭りの日に起きるらしい。
  たしかにこりゃあ祟りっぽいな。
  
  59 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/12/19(水) 00:04:27.48 ID:+QGfPvLE0
こっから下は事実かは怪しい内容
・34号文書
 鷹野三四(実在するかすら不明)という人物が書き残したスクラップ帳らしい。
 結論から言うと、鷹野三四が大災害の発生を予見している内容になっている。
 まぁ、この予見っていうのは火山性ガスが発生してないって話だからちょっと怪しいな。
 だが、この文章が実在するかすらわかっていないのに、この文書に関する情報は多い。
 かつそれらの情報に一定の統合性がある。内容は宇宙人とかの話でメチャメチャだが。
 実物を見つけるのは無理だろうが、調べてみる価値はあるかもしれない。
・以下は、34文書が正しいとした上での学校占拠事件の真相
 竜宮礼奈はこのスクラップ帳を見て犯行を決意。
 そして県警に対し、大災害を防ぐための調査を要求したということだ。
 まぁ、宇宙人がどうのこうのっていうのを信じるわけじゃあないが、
 次の日に大災害が起きているのは興味深い。
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 ここまで書いて思ったんだが、アホの仗助の友人に宇宙人を名乗るやつがいたよな?
ミキタカとか言ってたっけ。あいつもスタンド使いだったと思う。
オヤシロさまってのはスタンドかなんかなのかもしれないな。
宇宙人とか言われてるのも大災害も全部スタンドの可能性を考慮しとこう。

そういえば最近、承太郎からレクイエムとかいうスタンドの話を聞いたっけ。
そいつなら村ひとつを飲み込むくらいのスタンドパワーがあってもおかしくない。
でも、スタンドだったら承太郎に漫画のネタにするなって言われるんだろうなぁ。
承太郎には気づかれないようにしよう。

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