23 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 14:37:12.04 ID:03jSuYfb0
鍵は開いていた。
2階からは明かりも見える。
露伴は何も考えずに2階へと上がった。
露伴「今戻った。沙都子ちゃんはまだなのかい?」
梨花「沙都子は帰ったわ。」
露伴「帰ったって、いないじゃあないか、この家に。」
梨花「家に帰ったわ。北条の家に。」
露伴「ふーん。北条の家ね。
じゃあ今日はこの家は僕と君だけってことか。」
梨花「今日だけじゃないわ。もうずっと沙都子は帰ってこないわよ。」
24 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 14:38:04.63 ID:03jSuYfb0
露伴「どういう意味だよ。ケンカでもしたのか?」
梨花「違うわ・・・。」
羽入「あぅあぅ。沙都子が北条の家に帰ったということh・・・」
梨花「羽入ッ!・・・黙りなさい。」
露伴「おいおい、教えろよ。気になるだろ?」
羽入「さ、沙都子の叔父g・・・」
梨花「あーもう、うるさい!うるさい!
どうせアンタ達が何をやっても無駄なんだから、ここでやらないで頂戴!
その話をするなら出てって!!」
梨花は今まで見たこともない表情で羽入と露伴を睨み付ける。
これには流石の露伴もたじろいだ。
梨花を刺激しないようにスタンドで羽入と会話をする。
露伴「外に出ろよ。話を聞きたい。」
羽入「・・・わかったのです。」
25 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 14:38:46.94 ID:03jSuYfb0
羽入と露伴は神社の社まで行き、賽銭箱の前に腰掛けた。
露伴「ッたく、何なんだよ、あいつは。」
羽入「梨花を怒らないであげてほしいのです。」
露伴「それは話を聞いてからだ。なんで沙都子ちゃんが家に帰るとあいつが怒るんだ?」
羽入「沙都子が北条の家に帰ったということは、沙都子の叔父が戻ってきたということなのです。」
露伴「叔父ねぇ・・・。撲殺された叔母の夫ってことか?」
羽入「そうなのです。北条鉄平と言うのです。」
露伴「ふーん、それで?なんであいつは怒ってるんだよ。」
羽入「怒っている理由になるのかはわからないのですが、
鉄平はどの世界でも沙都子を虐待するのです。」
27 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 14:39:41.46 ID:03jSuYfb0
虐待。その言葉を聞いた瞬間、露伴の心に何かが突き刺さった。
しかし、それが何なのかわからず、冷静を保って羽入に答える。
露伴「・・・。
警察に通報すればいいじゃないか。」
羽入「過去に何度かそれも試しているのです。
ですが、沙都子の過去の経歴などから、警察はあまり動いてくれないのです。」
露伴「近所の連中とかが虐待を見つけたりしないのかよ?」
羽入「前も言ったように、村の大人たちは北条家には関わらないようにしているのです。
だから、沙都子を助けてくれる人はいないのです・・・。」
露伴「つまり、鉄平が戻ってきたら沙都子ちゃんはお終いってことか。」
羽入「・・・はい。虐待が始まれば、沙都子は廃人になるか、
雛見沢症候群を発症するか。そのどちらかしかないのです。」
露伴「それで僕と羽入が何をやっても無駄だと言ってたわけか。
・・・気に入らないな。」
28 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 14:40:05.79 ID:03jSuYfb0
羽入「あぅあぅ。」
露伴「羽入。僕を北条家へ連れて行け。話をつける。」
羽入「ロハン・・・。でも、鉄平が話を聞くとは・・・。」
露伴「いいから連れて行けよ。お前が教えないなら村人に聞いて行くだけだぜ。
さっさと案内しろ。」
羽入「・・・わかったのです。」
露伴の頭は自分がなぜ沙都子を助けようと思ったのかわからず、混乱していた。
露伴は自分の心に、梨花が気に入らないから沙都子を助けるのだと言い聞かせ、羽入と北条家へと急いだ。
49 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 15:59:54.41 ID:03jSuYfb0
羽入と露伴が北条家に着くと、北条家からは男たちが騒ぐ声が聞こえていた。
酒でも入っているのだろうか?数人の男の騒ぎ声と麻雀の牌を混ぜる音が聞こえてくる。
しかし、沙都子の自転車は間違いなく、その家の前に泊まっていた。
露伴「ここか・・・。」
羽入「あぅあぅ・・・ロハン・・・本当に行くのですか?」
露伴「ここまで来て引き返すわけないだろう。」
露伴はそう言うと、玄関の扉を叩いた。
ドンッドンッ!ドンドンドンッ!
男たちの声は一瞬止まった。しかし、再び騒ぎ声と麻雀牌の音が聞こえてきた。
人が出てくる気配はない。
50 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 16:01:04.77 ID:03jSuYfb0
露伴はイラッっとしながらもう一度玄関を叩く。
ドンドンッ!!ドンドンドンドンッ!!!!
もう一度男たちの声が止まった。そして男の叫ぶ声が聞こえた。
??「沙都子ぉ!!お客さんや、もう遅い言うて帰ってもらぃー、沙都子ぉーっ!!」
露伴が少し待つと沙都子が玄関を開けた。
沙都子「ッ、露伴さん・・・どうしたんですの?
こんな夜遅くに女性の家を訪ねるだなんて、失礼ですわよ。」
露伴「沙都子ちゃん・・・、迎えに来たんだ。」
沙都子「梨花から何も聞いていませんの?私の叔父様が帰ってきたんですわ。
私は今日からこの家で生活しますのよ。」
露伴「僕が話をつけるよ。」
沙都子「露伴さん、やめてくださいまし。
叔父様は、乱暴な方ですわ・・・。露伴さんが何を言っても聞きませんわよ。
それに私平気ですから。今日は帰ってくださいまし。」
52 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 16:02:25.96 ID:03jSuYfb0
沙都子に拒絶の言葉を投げつけられ、露伴はすぐに言葉を発することができなかった。
すると、また先ほどの男の声が聞こえる。
??「沙都子ぉ!!お客さん帰したかぁ!?すったらん乾きモンもってこんかい!!
もう全部のうなってもーた。さっさとしぃ!!」
沙都子「それでは、露伴さん、私することがありますわ。
もうお帰りになってくださいまし。」
露伴「・・・沙都子ちゃん。
僕の言うことをひとつだけ聞いてくれないか。」
沙都子「なんでございますか?すぐ済むことでしたらいいですわよ。」
沙都子がそう答えると、露伴はそっと沙都子を両肩を握り、沙都子を見つめながら言った。
露伴「僕が話をつけてくるまで、下で待ってるんだ。いいね?」
露伴のあまりの気迫におされ、沙都子は軽く頷いた。
沙都子が頷いたのを確認した露伴は優しく沙都子の頭を撫でる。
すると沙都子の目から涙がこぼれ落ちた。露伴は彼女をそっと抱きしめてやった。
74 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 16:59:52.91 ID:03jSuYfb0
露伴は彼女が泣き止むまで抱きしめてやるつもりだった。
しかし、男の声がそれを拒む。
??「沙都子ぉ!!まーだ終わらんかいな。ビールもヌルぅなっとるんね。
すんぐ持ってこんかい!!ホンマすっとろいんね、こんダラズは・・・。」
露伴は沙都子を離し、家へと上がった。
階段を登り、先ほどから汚らしい言葉を発する男のいる部屋へと乗り込む。
部屋には4人の男がいた。いかにもゴロツキといった感じの品のない連中だった。
??「な、なんね?アンタ人の家に勝手にあがりよって。」
男たちは予期せぬ露伴の侵入にまぬけな顔をしてみせた。
75 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 17:00:49.85 ID:03jSuYfb0
露伴「おまえが・・・北条鉄平だな。」
鉄平「な、なんね。オレァあんたなんぞ知らんね。
人様の家に勝手に入ってきよってからに・・・。ただで帰れると思わんほうがえぇぞ、ワレ。」
鉄平がそう言い、凄む。
他の三人の男も立ち上がり、今にも露伴に飛び掛ってきそうだ。
男の一人が露伴の背後を取り、逃げ道を塞ぐ。
露伴「僕は岸辺露伴だ。逃げないから安心しろよ。」
鉄平「えぇ度胸やの。それで、何の用なんね?」
露伴「沙都子ちゃんを返してもらう。彼女はこの家に住むべきじゃあない。」
鉄平「しゃあらしいわっ!!沙都子はうちん娘なんね。おどれに何の権利がおうて言っとるんじゃ!!」
露伴「僕は・・・、沙都子ちゃんの友達だ。」
鉄平「だっはっはっはっは。あんのダラズの友達言いよるんか。こらおもろいわぁ。
だーっはっはっはっはっ。」
鉄平が笑い出すと他の三人も合わせて大笑いしてみせる。
76 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 17:02:24.18 ID:03jSuYfb0
露伴「まぁ、聞けよ。力ずくで思い知らせてやってもいいんだが、
おまえらの好きなやり方でケリをつけてやる。
麻雀・・・好きなんだろ?」
男1「力づくで思い知らしたるのはこっちじゃボケがァァァァアアア!!」
男2「俺らを舐めとんのかァァァアアア!!こっちは三人なんぞッ!わかっとんかぁッ!」
鉄平「椿ぃ、龍二ぃ、待つんね。露伴さん言うたか?
麻雀でケリつける言うのもな、えぇで?ワシは。だが沙都子は人間じゃぁ。
せやっったら、アンタが負けたらデカピンどころじゃ済まん言うんはわかっとるんね?」
露伴「・・・。」
露伴は無言で腕時計を外して麻雀卓にの上に置いた。
ブレスレット、イヤリング、ネックレスも同様に麻雀卓に置く。
露伴「ロレックスの時計、ビルウォールレザーのブレスレット、特注のGペンイヤリング、セルジュトラバルのネックレス
僕が今持ってるものの中で価値があるのはこれくらいか。あんたらに価値がわかるとは思えないが、全部本物のシルバーやゴールドだ。
時計とブレスレットだけで150万はいくと思うよ。これで満足かい?」
77 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 17:03:36.75 ID:03jSuYfb0
ゴロツキたちは珍しいものでも見るかのようにそれらを眺めた。
椿「鉄っちゃん、こいつぁあ本物だ。メーカーとかはよぉ知らんが、ほんに銀や金でできとる。」
龍二「時計もホンマもんやなぁ。園崎の若頭に見してもろたんとおんなじメーカーや。」
てっぺい「露伴さん、この勝負のらしてもらうんね。負けてからワビぃ入れても許さんから、覚悟しとくん。」
露伴「麻雀のルールはあんたらに任せるよ。。
僕とアンタでサシウマだ。僕が勝ったら、沙都子ちゃんを開放してどこかへ消えろ。
アンタが勝ったらそれを全部やる。それでいいな?」
鉄平「すったら、半荘勝負じゃ。ピンのワンツー、アリアリでえぇやろ。」
露伴「なんだ、金も賭けるのかよ。」
鉄平「しゃもないやん。わしら以外の二人に悪いんね。」
露伴「いいだろう。その条件でいい。席を決めようか・・・。」
97 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:05:19.54 ID:03jSuYfb0
麻雀勝負となると、男たちは急に静かになった。本気でやるということだろうか。
椿、龍二と呼ばれた男が参加することになり、もう一人の男は部屋の入り口を陣取る。
席決めはスムーズに決まった。起家は龍二。親は龍二から順に露伴、椿、鉄平の順となった。
龍二「俺ぁ、起家やと調子わるいんね。大勝負や言うんに・・・。」
椿「露伴さん言うたか?わしらは普通に勝ちにいくけん、振り込んでも堪忍してぇな。」
露伴「・・・。好きにしてくれ。鉄平の味方でもなんでもしろよ。」
椿&龍二「そんなことせんわ。心配せんでえぇんよ。がっはっはっはっはー。」
椿と龍二はそう言ったが、実際には完全に鉄平の援護に回っていた。
通し等はないものの、彼らはさっさと鉄平に振り込んで勝負を終わらせようと考えていた。
98 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:06:38.44 ID:03jSuYfb0
鉄平「ロンッ!!タンピンドラ2!!7700じゃぁ!!」
椿「鉄っちゃん、いきなりかいな。堪忍してぇな。」
龍二「もう親流れてもうた、わしはやっぱりだめじゃぁ。」
鉄平「がっはっはー。まだまだ始もぅたばっかりじゃきぃ、わからんね。ささ、露伴さんの親やんね。」
椿と龍二が胡散臭い演技をし、鉄平が嫌らしい笑いをしてくる。
露伴は心底イライラしたが、なんとかそれを我慢した。
なぜなら、露伴はこの麻雀勝負に勝つ自信があった。
その理由は仗助である。
彼は露伴からチンチロリン勝負で金を巻き上げた後も、幾度と露伴にギャンブルを仕掛けた。
露伴が勝つこともあったが、策を練ってきた仗助が通算で勝つことが多かった。
そこで、露伴は現代日本で行われるギャンブル、麻雀・花札・チンチロリン等様々なゲームを特訓することにした。
特に麻雀に関しては学生時代にやっていた経験もあり、特訓後はプロと渡り合えるほどの腕前になっていた。
99 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:08:15.85 ID:03jSuYfb0
露伴「ロン、純チャン、三色、イーペー、ドラ2、親倍満24000点だ。」
鉄平「ぐ・・・、露伴さん、ヒキが強いんね。」
その後、露伴は高めに振り込むこともなく局が進んでいく。
椿と龍二は鉄平に振込み、鉄平と露伴の点差を減らそうとする。
しかし、親倍満の直撃が大きい。
露伴が高めに振り込むこともなく順調に点を稼いでいくため、露伴と鉄平の差はほとんど縮まらなかった。
南1局
龍二 9500
露伴 51600
椿 9900
鉄平 29000
南場になり、ここで露伴が突っ走ればもう鉄平達に勝ちはない。
いや、すでにこの時点でかなり勝てる見込みは薄くなっていた。
100 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:10:59.72 ID:03jSuYfb0
流れは完全に露伴である。
露伴、配牌も良く、清一に向かい突き進む。すでに二鳴きし、メンツもほぼ確定している。
鉄平も無理を承知なのか、際どいところを切ってくる、露伴は直感に任せ鉄平からもう二鳴きした。
すると鉄平は露伴に気づかれないようニヤリと笑い、龍二に目配せをした。
龍二も露伴に見えないように頷く。
鉄平「露伴さん、先に言っておきますんね。わし、これからオープンリーチさせてもわいますわ。
オープンリーチに振り込んだら、役満いうルール知ってますんね?」
露伴「あぁ、知ってるよ。手牌が少ない僕なら振り込むかもしれないからね。
わかってる。振り込んだらちゃんと払うよ。」
鉄平「すったらん、三六萬の両面でオープンリーチやね。」
露伴は鉄平がヤケになってオープンリーチをしてきたと思っていた。
しかし、自分のツモが来てそれがヤケではないことを思い知らされる。
101 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:11:40.48 ID:03jSuYfb0
露伴のツモは三萬。まさに鉄平の当たり牌である。
露伴は龍二のツモの際、違和感を感じた。
そのときは気のせいかと感じたが、それは違っていた。
龍二に握らされたのである。鉄平の当たり牌を。
露伴は聴牌していた手牌を崩し、四索を切った。
椿は無難な牌を切り、鉄平もツモらず。
龍二のツモ順が来た。露伴は気づかれないように龍二のツモを凝視した。
自分の手牌と次に露伴の引く牌を入れ替えているッ!!!!
102 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:12:00.97 ID:03jSuYfb0
しかし、すでに時は遅かった。龍二の手は山から離れている。
イカサマを申告するにはもう遅い。露伴は覚悟した。
次の露伴のツモ、見なくてもわかっていることだが、鉄平の当たり牌。六萬だった。
露伴は鉄平をにらみ付け、六萬を切る。
鉄平「がっはっはっはっー。露伴さん、こりゃ申し訳ないんね。
でもルールやから、しゃぁないですわ。ロンッ!役満や!32000点やね。」
椿「鉄っちゃん、運がよすぎるでェー。」
龍二「まさかホンマに来るとは思わんかったんねー。」
彼らは笑いながら牌を混ぜ始めた。
露伴は誰にも聞こえないように呟いた。
そっちがそういうつもりなら、こっちもやらせてもらうよ、と。
113 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:35:23.89 ID:03jSuYfb0
ジャラジャラと牌をかき混ぜる音がする。
鉄平「露伴さん、そんなに気ぃ落としたらあかんね。まだまだこっからありますんね。
へっへっへっへ。」
鉄平が薄気味悪い笑いをする。
露伴「この音・・・」
鉄平「なんですんね?」
露伴「この音、わかるかい?この音」
鉄平「な、何を言い出したんね?この麻雀の牌になんかある言うんかいな?」
椿「イチャもんつけるつもりかぁァァア?コラァァァアアア!!」
露伴「・・・最後まで聞けよ・・・。
この音、洗牌するときのこのジャラジャラとした音だよ。」
鉄平「この音が・・・なんですんね?」
露伴「中国だとさ、この音は縁起がいいらしいんだ。
このジャラジャラとした音。うるさいくらいにわざと音を立てたほうが縁起がいいらしい。
中国の一部の地方らしいけどね、葬式に麻雀をやるらしいんだよ。
縁起のいい音を立てて死者への餞にするらしいんだ。」
鉄平「何がいいたいんね?」
露伴「別に・・・意味はないよ。縁起がいいってだけさ。
縁起がいいなら、僕にいいことが起こるってだけだよ。」
114 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:36:03.24 ID:03jSuYfb0
牌を積み終わる。露伴がサイを振った。
露伴「8・・・。左8だ・・・。」
龍二が自分の山を別け、皆順に牌を取っていく。
各自が自分の牌を取り終えた。
露伴が自分の牌を起そうとした直前。
羽入にだけ微かに見えたものがあった。
露伴が自らの手に重ねて天国への扉(ヘブンズ・ドアー)を出していた。
その次の瞬間、露伴の手は恐ろしい速さで自分の山へと動いた。
露伴のツバメ返しッ!!
それは天国への扉(ヘブンズ・ドアー)により補助されたスピードと精密性が生み出した幻の技。
スタンド使いでないものには絶対に見ることのできないスピード。
対面の鉄平は露伴の手元を見ていたが、違和感すら感じなかった。
115 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 18:36:20.03 ID:03jSuYfb0
露伴は牌開けるなり呟いた。
露伴「ふふふ・・・、やっぱりさ、縁起がいいよ。」
男たちは露伴が先ほどから頭でもおかしくなったかとわけのわからない顔をしている。
露伴は牌を静かに倒した。
露伴「天和、純正九連宝燈、親のトリプル役満は、144000点。
48000オールで、お二人が飛びだね。ふふふ、これで終わりかな。」
鉄平「な、なんじゃと・・・。」
椿「イカサマじゃあ!!こいつイカサマしよるんね!!!」
龍二「だぁほまぁぁぁああああ!!勝てんからって何しとんのじゃぁぁああ!!!」
男たちは精一杯の罵声を浴びせ、露伴へと襲いかかってきた。
露伴「おいおい、別に僕はズルいことはしてないんだがな・・・。」
露伴の言葉など聞かずに男たちは襲い掛かる。
しかし、露伴は紙一重でかわす。背後からの攻撃もなんなくかわした。
それもそのはず、露伴には見えているのである。
天国への扉(ヘブンズ・ドアー)で後方にも視界を確保。
さらには体の動きも天国への扉(ヘブンズ・ドアー)で補正し、スピードを増す。
露伴は連続殺人事件当時より随分と成長していた。近距離パワー型のスタンドにはかなわないが、
ある程度のスタンドには競り勝てるほどの戦闘能力を持つようになっていたのだ。
その露伴の前に、ゴロツキたちは子供のようだった。
あっというまに鉄平以外のゴロツキを地に臥せさせた。
191 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 21:19:16.48 ID:03jSuYfb0
露伴「別にアンタもこうしてやってもいいんだが、どうする?」
鉄平「ひ、ひぃぃぃいいい、出て行きますんね。す、すったらん、乱暴せんといて。」
露伴「わかったよ。もう2度と沙都子ちゃんの前に姿を現すな。」
鉄平「わ、わかってますんね。も、もう雛見沢には来んから、許してぇな・・・。」
鉄平に既に抵抗するつもりはないようだった。
露伴は外していた時計等の麻雀に賭けていたものを身に着けると、思い出したように言った。
露伴「あぁ、ウマも入れて僕は183600点。テンピンだから15860円か。
大した金額じゃあないが、ちゃんと払ってもらうよ?」
192 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/30(日) 21:19:51.39 ID:03jSuYfb0
露伴が二階から降りると、沙都子が不安そうな顔で待っていた。
ゴロツキ達が大騒ぎをした後だったので、当然といえば当然だ。
露伴「終わったよ。」
露伴がそう言うと、沙都子は何も言わずにまた大粒の涙をこぼし始めた。
露伴はもう一度沙都子を抱きしめ、そのまま抱え上げた。
露伴「僕は泣くガキは嫌いなんだがな。
今日は特別に許してやるよ。」
沙都子「ぅぅ・・・露伴さん・・・私・・・私・・・ふぇぇ・・」
露伴「ほら、帰るぞ。君の家はここじゃないだろ。」
泣きじゃくる沙都子を抱え、露伴は帰路に着くのだった。
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