×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

17 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 17:49:08.78 ID:yZkUnqOA0
  1983年(昭和58年)
       6月14日(火)




沙都子「露伴さーん、もう朝ですわよー?起きてくださいまし。
    梨花も、起きるんですわよぉー。」

今日も同じく、沙都子が1日の始まりを告げる。
彼女の一日は今日もまた幸せなものになるに違いない。
露伴もこの日常に慣れたのか、文句を言わずに目を覚ます。
いただきますで叱られることもない。

梨花は相変わらずだった。

沙都子「梨ぃ花ぁー、もう起きませんと遅刻しますわよー?」
露伴「置いてって遅刻させてやれよ。夜にキムチでも食べて起きてたんだろ。」
沙都子「あら、露伴さんよく知ってますわね。
    梨花ったら私には食べられないほど辛いキムチを食べるんですわよ。
    ほらぁ、梨花ぁー?」
梨花「みー。もう起きてるのですよー。だからお布団に入れといてほしいのです。」
沙都子「お布団から出ないと起きたことにはなりませんのよっ!」


18 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 17:50:14.84 ID:yZkUnqOA0
なんとか梨花をたたき起こした沙都子も食卓に着く。

沙都子「お味はいかがですこと?」
露伴「いつも通りだよ。

            ・・・いつも通り美味しい。」

沙都子が満面の笑みを浮かべる。
羽入もニヤニヤと露伴を見ていたので天国への扉(ヘブンズ・ドアー)でぶん殴られていた。

羽入「あぅあぅ、痛いのです。」
沙都子「露伴さん、今日はお暇ですこと?」
露伴「ん、まぁ、特に予定はないが。」
沙都子「それはよかったですわ。今日は学校に来て頂きますわよ。」
露伴「ん?授業参観か何かかい?僕は嫌だぞ。」
沙都子「違いますわ。今日は家庭科の授業でカレーを作るんですわ。
    そこで、部活の料理勝負があるので呼んで来いと魅音さんから言われてますのよ。」
露伴「まぁ、それなら別に行ってもいいんだが、部外者の僕が行っていいのかよ?」
沙都子「そこは魅音さんが話を通しておくと言ってましたわ。
    今日は営林署の職員さんにカレーをご馳走するそうですわよ。」

なぜだか露伴は寒気を感じた。

19 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 17:51:00.68 ID:yZkUnqOA0
朝食を終え、露伴たちは家を出た。
魅音が早めに露伴を連れて来いと言っていたようで、沙都子がせかしていた。
しかし、露伴も梨花も相手にしてくれず沙都子はむくれるのだった。

学校に到着すると魅音が待ち構えていた。
レナと圭一はあとから来るらしい。

魅音「お、やっと来たね。遅いよっ、露伴さん。」
露伴「やぁ魅音ちゃん、1日ぶりだね、ふふふ。」
魅音「なーんか嫌な笑い方するなぁ。
   まぁ、露伴さんこっちこっち、先生に会ってもらうからさ。」

そう言って魅音は露伴を連れて職員室へ向かう。
残された沙都子と梨花は教室へと行った。

21 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 17:52:19.70 ID:yZkUnqOA0
職員室へ向かう途中、露伴は魅音に問いかける。

露伴「先生に会うのはいいんだが、僕はどうしたらいいんだ?
   何も説明を聞いてないぞ。」
魅音「あぁ、そうだね。ごめんごめん。
   今日はカレーを作るって言うのは聞いてる?」
露伴「あぁ、それは沙都子ちゃんから聞いたよ。」
魅音「じゃあ話は簡単だね。
   露伴さんはカレーのプロってことで先生に紹介してあるからさ、
   お手本にカレーを作ってくれればいいわけ。
   で、私たちのカレーと含めて得点を争ってもらうよ。」
露伴「おい・・・僕はカレーのプロなのか・・・?」
魅音「あははー、露伴さんは何でもできちゃいそうだからね。
   勝手にそういうことにしといたよ。ほら、入った入ったー。」

そう言い、魅音が職員室の扉を開ける。

魅音「先生ー、昨日話した露伴さんが来てくれましたー。」

魅音がそう言うと職員室にいた青髪の女性は振り返り、ものすごい勢いで睨み付けてきた。
そしてなぜか急に満面の笑みを浮かべ、露伴に微笑みかけている。
露伴は再び寒気を感じた。

22 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 17:53:37.27 ID:yZkUnqOA0
立ち尽くす露伴を魅音が無理やり職員室へと入れた。

魅音「そ、それじゃあ私は教室に行くんでっ!」

露伴が教室に入ったとたん魅音は全力ダッシュで教室へと走っていった。
残された露伴はどうしたものかと思っていると、女性が話しかけてくる。

女性「あなたが露伴さんですね。私は知恵留美子。魅音さん達の担任です。
   ささ、こちらにお座りください。」

そう言うと、知恵は来客用の椅子へと露伴を案内した。
露伴は寒気は気のせいだったと思い、言われたままにする。

露伴が椅子に座って待っていると、知恵はコーヒーを淹れ、持ってきてくれた。
そう露伴は思った。

ティーカップの中身はカレースープだった。

23 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 17:54:15.99 ID:yZkUnqOA0
知恵「ふふふ、カレー仲間とお会いできて嬉しいですわ。
   今日はよろしくお願いしますね。」

知恵の目がカレー色に染まり、瞳は煮込んだカレーのようにぐつぐつとしている。
その眼光に露伴は目を逸らすこともできずにおびえている。

露伴「あ、いや、僕は・・・」
知恵「それではHRまで時間がありますので、カレーについて語り合いましょう。
   露伴さんはどんなカレーがお好みなんですか?」
露伴「あ、あはははは、僕は・・・」

露伴はHRまでに、自分の悪寒が正しかったことを思いしらされるのだった。

55 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 19:58:31.69 ID:yZkUnqOA0
昼10時過ぎ。
午前中の短めの授業を終え、生徒たちは校庭へと出ていた。
いまから校庭でカレーを調理し、営林署の職員さんに食べてもららう予定らしい。
すでに調理するための机なども出され、ほとんど準備は終わっているようだった。
カレー作りの準備を終えた露伴も校庭へと出てみることにした。
すると魅音を見つけた。さっきの恨みを晴らすべく露伴は話しかける。

露伴「おい、魅音ちゃん、ちょっといいか?」
魅音「おっと、露伴さん、その顔はずいぶんとやられたみたいだねぇ。
   いまちょっと困ってるから、後でにしてもらえる?」
露伴「ん?なんかあったのかい?」
魅音「ガスコンロがさ、露伴さんのぶんを予定していなかったみたいで、1個足りないんだよね。
   下の学年の子供は班で料理をするから、そこの人数を先生が調節してるよ。」

露伴はなにか閃いたようでニヤニヤしながら魅音の下を離れた。
名簿を見て班分けをやり直している知恵を見つけ、露伴が近づいていく。

露伴「ふふふ、知恵先生、もっと簡単な方法がありますよ。」
知恵「あら、露伴さん、もう準備は大丈夫なんですか?」
露伴「えぇ、それよりガスコンロが足りないそうですね。」

56 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 19:59:25.06 ID:yZkUnqOA0
知恵「そうなんです。予備のコンロが壊れていまして。」
露伴「下の学年の子よりですね、上の学年を変えればいいんですよ。」
知恵「でも、上の学年の子は自分一人で作ることになっていますから。」
露伴「ふふふ、自分一人で作れるといいんですけどね。
   一人じゃ料理できない子と委員長が二人で1班になったほうがいいんじゃあないですか?
   刃物を使う以上は危ないですからね。」
知恵「一人じゃ料理できない子・・・ですか?」
露伴「えぇ、前原圭一君は非常に危なっかしいと思いますよ。
   委員長に教えてもらいながら作ったほうがいいと思います。」
知恵「た、たしかにそうですね・・・そうしましょうか。」

露伴は思惑通りに知恵を丸め込むと再び魅音のところへと戻る。

57 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 20:00:14.61 ID:yZkUnqOA0
露伴「魅音ちゃん、圭一君が一人じゃあ危なっかしいから、
   委員長とやることになったよ。」
魅音「へ?圭ちゃんと委員長って・・・あ、あたしぃ!?」
露伴「あれ、魅音ちゃんが委員長なのかい?
   僕は全然知らなかったよ。ふふふ。」

露伴は明らかに知っていたという顔でニヤニヤしている。

魅音「ちょ、ちょっと、露伴さんー。
   りょりょ、料理なら、レ、レ、レナのほうが教えるのはうまいよ!」
露伴「ふーん、じゃあレナちゃんのほうがいいって、先生に言ってこようかい?
   レナちゃんと圭一くんが二人っきりで同じ班のほうがいいってさ。」
魅音「うー。露伴さんの馬鹿ー。絶対罰ゲームにしてやるー!」
露伴「ははは、面白い罰ゲームに期待してるよ。」

露伴の復讐は成功したようである。

99 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 21:55:29.38 ID:yZkUnqOA0
準備も整ったようで知恵がカレーについての説明を始めた。
生徒たちはみんなうんざりとした様子で聞き流していた。
最後に知恵から一言付け足しがあった。

知恵「あ、あとですね、前原君は委員長と二人で一班で習いながらやるように。
   委員長に任せっぱなしではだめですからね。ちゃんと前原君もやるんですよ。」
圭一「えっ!?ちょ、先生、俺らは一人一鍋カレー作るじゃないんですか?」
知恵「コンロが一つ足りません。それに前原君は危なっかしいですから、
   委員長にちゃんと指導してもらうように。いいですね?
   それでは皆さん作り始めてください。」
生徒「はーーーーーい。」

100 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 21:56:40.12 ID:yZkUnqOA0
魅音「そ、そういうわけだから、圭ちゃん、同じ班らしいよ。」
レナ「圭一くんに料理教えるのは楽しそうだよね、魅ぃちゃん。」
魅音「あ、あはははは、圭ちゃんを放っておいたら、
   圭ちゃんの指を煮込んだカレーになっちゃうからねぇ。」
圭一「ぐッ・・・おい、魅音、そりゃどーいう意味だよ。」
沙都子「あらあら、もう仲間割れですの?これはもう勝負が見えましたわねぇ。」
露伴「ふふふ、圭一君、仲良くやらないと罰ゲームで仲良くすることになるぜ?」
梨花「圭一と魅ぃは料理も罰ゲームも両方仲良しでらぶらぶなのです。にぱー☆」
魅音「ちょっちょちょちょ、梨花ちゃんららら、ら、らぶらぶって、
   おおお、お、おじさんはそんなつ、つもりじゃないんだけどなぁ。」
レナ「ほらほら、みんなはやくしないと時間なくなっちゃうよ。」
沙都子「そうですわね、梨花ぁ!早く作りますわよー。」
梨花「みー。」

皆が各自の調理台に去っていくと、そこには圭一と魅音が取り残されたのだった。

102 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 21:57:39.03 ID:yZkUnqOA0
圭一「じゃあ、魅音、俺たちもやるか。」
魅音「あ、う、うん。そうだね。」
圭一「俺は、料理できないからさ。魅音が指示を出してくれよ。
   本当は全部魅音に任せるのがいいんだろうけど、先生がさっきだめだって言ってたしな。」
魅音「それじゃあ、最初はご飯を炊かないといけないんだけど、圭ちゃんわかる?」
圭一「飯ごう炊飯だよな?それだけは自力でできるぜっ!」
魅音「本当に?無理しなくていいよ?」
圭一「へへっ、まぁ見てろって。」

圭一は米をとぎ、飯ごうに入れ、自分の手首で水の量を決める。
確かに飯ごう炊飯は手馴れているようだ。

魅音「へぇー、ちょっと意外・・・。」

魅音は圭一が飯ごうを火にかけるまで見とれているようだった。

103 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 21:58:34.87 ID:yZkUnqOA0
圭一「おい、魅音できたぞ。おーい。」

そう言って圭一が魅音の顔の前に手を振る。
飯ごうをセットした後手を洗ったのか、水しぶきが飛び散った。

魅音「うわっ、ちょっと圭ちゃん!顔に水飛ばさないでよー。」
圭一「おまえがぼーっとしてるからだろ。
   それで、次はどうするんだよ?こっからは俺は何もわからないぞ。」
魅音「うん、それじゃあ野菜を切るよ。圭ちゃん、包丁はできる?」
圭一「いや、ぜんぜんできないぞ。でもやらないと怒られるからな、教えてくれよ。」
魅音「うん、じゃあほら、こうやって親指を当てて、こう・・・。」

魅音はするするとジャガイモの皮をむいて見せた。


104 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 21:59:33.68 ID:yZkUnqOA0
圭一「魅音、おまえもしかして料理得意なのか?」
魅音「得意ってわけじゃないけど、婆っちゃに習ってるから大抵のものは作れるよ。」
圭一「・・・野菜炒めとか?」
魅音「圭ちゃん、急に何言い出したの?
   野菜炒めなんて誰でも作れるっしょー。」
圭一「いや、俺のお袋のメニューに野菜炒めってなくてさ・・・。
   だから、魅音は作れるのかなって、いや、なんとなく思っただけだぜ。
   そんなことどうでもいいよな。ほら、さっさと切っちまおうぜ。」




魅音「・・・今度作ってあげるよ。」
圭一「あ・・・うん・・・。」

気まずくなった二人はお互い言葉につまってしまった。

沙都子「ふふふ、何をしてるんだかわかりませんけれど、絶好のチャンスですわ。」

105 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 22:03:25.08 ID:yZkUnqOA0
沙都子が圭一と魅音の調理台に近づいていこうとしたとき。
沙都子の頭に何かが当たった。

コツンッ

沙都子「痛ッ!?なんですの?」

沙都子が振り返ると、そこには露伴がいた。
露伴にゲンコツをもらったようだ。

沙都子「ろ、露伴さん、何をしますの?レディの頭は殴るためのものではありませんことよ?」
露伴「まぁ、普段の部活なら何をしても止めないけどね。
   今日だけは二人の邪魔はしちゃだめだよ、沙都子ちゃん。」
沙都子「これは部活ですのよ?確実なる勝利を得るためには、トラップを仕掛けるしかありませんわ!?」
露伴「圭一君が作るんだから、負けないだろう?
   それに沙都子ちゃんの作ったカレーを食べてみたいよ。」
沙都子「あら・・・そうでしたの?うーん、
    そうですわね。梨花に任せっきりというのもおもしろくありませんわ。
    露伴さん、私のカレーに負けるのを覚悟しなさいませー!」

沙都子はそう言うと、自分の調理台に戻って行ったようだ。
沙都子と入れ違いにレナが露伴に近づいてくる。

106 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 22:04:56.88 ID:yZkUnqOA0
レナ「露伴さん、沙都子ちゃんの扱い上手いですね。
   それに、圭一くんと魅ぃちゃん、いいないいな。」
露伴「魅音ちゃんも素直じゃないからね、あのくらいしたほうがいいんだよ。
   (それにそのほうがおもしろいし。)」
レナ「魅ぃちゃんいいな。なんでレナには気をつかってくれないのかな?かな?」
露伴「うん?レナちゃんの何に気を使ったらいいんだい?」
レナ「はぅ・・・。露伴さんひどいよぅ。
   レナも圭一くんのこと好きなんだよ?だよ?」
露伴「知ってるよ。でも、魅音ちゃんは圭一君に恋してるからね。
   レナちゃんは恋に恋してるんだろ。それと圭一君が好きなのは別さ。
   だから僕が気を使うことなんて何もない。」
レナ「ふーん。やっぱり露伴さんはなんでもお見通しなんだね。
   かっこいいな。露伴さんに恋しちゃおうかな☆」
露伴「おいおい、中学生には興味ないからやめてくれよ。」
レナ「あはは、フられちゃったかな、かな。」
露伴「ふふふ、大人をからかうもんじゃないよ。」

107 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/06(日) 22:05:54.70 ID:yZkUnqOA0
魅音「ちょ、圭ちゃん、そんな力入れたら危ないって。」
圭一「ん・・・だけど、全然うまくいかなくてよ・・・。」

魅音が圭一にそっと近づく。

魅音「ほら、圭ちゃん、手ぇ貸して、こうやってね・・・。」
圭一「あ、あぁ・・・。」
魅音「ほら、こうだよ、こうゆっくり・・・。」
圭一「こ、こうか?あれ?」
魅音「ほら圭ちゃん、もう1回手ぇ貸して。こうして、あんまり力まないで・・・。」
圭一「ちょ、魅音あんまりくっ付くなよ。」
魅音「こうしないと教えられないでしょ。もう、ほら、手ぇ貸してってば。」
圭一「いや、その・・・魅音・・・胸が当たって・・・。」
魅音「・・・。
   圭ちゃんの馬鹿・・・。」

しかし、そのまま魅音は圭一の手をとり教え続ける。
圭一もそれ以上は文句を言わずに習うことにしたようだった。

191 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:00:40.62 ID:utujCsjO0
知恵「はーい、みなさん時間でーーーす。
   カレーをお皿に盛り付けて、採点できるようにしてくださいねー。」

知恵の号令を聞くと、生徒たちは盛り付けをすませた。
営林署の職員さんもすでに準備はできているようで、すぐに採点が始まる。
低学年の子たちが作ったカレーがどんどんと採点されていった。

そして、沙都子と梨花のカレーも採点される。
沙都子が多少手を出したとしてもベースは梨花が作ったものだ。
ほとんどの審査員たちには高評価だったようである。

続いてレナのカレー。
これはもう何も書くことはない。
文句なしの満点のようだ。否定的な声などひとつも聞こえなかった。

次は魅音と圭一のカレー。
カレー以外にも魅音が持ってきた食材に彩られ、見た目ならTOP確実。
味も好評のようだった。圭一が剥いたじゃがいもに皮がついていて審査員は苦笑していた。

193 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:01:18.66 ID:utujCsjO0
知恵「それでは、最後にお手本のカレーを作ってくれた露伴さんにお願いします。」
露伴「あー、ちょっといいかい?」

露伴の言葉に何事かと審査員は耳を傾けた。

露伴「カレー、作ってないんだ。」

露伴の衝撃の一言に審査員たちはざわつく。
知恵先生も露伴が何を言っているのかわからず、返答に困っているようだった。

196 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:02:27.20 ID:utujCsjO0
露伴「インドではさ、カレーっていう料理はないんだよ。
   カレーという言葉は古来、インドでは使われていなかったんだ。
   外国人が様々なインド料理を見て全てが"カレー"だと勘違いしたものなんだ。
   たとえるなら、そうだな。味噌を使っている料理を全て味噌汁と呼ぶような。
   そんな感じなんだよ。日本には味噌汁がちゃんとあるけどね。」

露伴の薀蓄に審査員たちは静かに聞き入っている。
露伴が間違ったことを言っているわけではないので知恵も特には口を挟まなかった。

露伴「だから、僕が今日作ったのはインド料理なんだ。
   美味しいカレーは、生徒達も作れそうだったからね。
   みなさんにインドの料理を食べてもらおうと思ってつくったんだ。
   審査員の人に限らず生徒の分もあるから、あとで食べてみてほしい。」

薀蓄を言い終えると、露伴は審査員のもとに"カレー"とナンを出した。
昭和58年の人々にはナンは珍しかったのか、みな不思議そうに見ている。

197 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:03:38.88 ID:utujCsjO0
露伴「それはナンと呼ばれるパンみたいなもんだ。
   パンと違い、イースト菌で発酵させていないので、あまりふわふわとしていない。
   インドでは、このようなナンは高級なんだ。小麦が手に入らないみたいでね。
   だから庶民の味というわけじゃあないんだが、まぁ、食べてみてくれよ。
   そのナンに"カレー"を付けて、食べるんだ。」

審査員達はものめずらしそうに露伴の"カレー"を食べてみた。
たしかに日本のカレーとは違う珍しい味だった。
好評不評は分かれていたが、皆食べたことのない味を楽しんでいるようだった。
知恵がものすごく幸せそうに食べていたのは言うまでもない。

198 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:04:48.85 ID:utujCsjO0
全てのカレーを審査員が食べ終えたあと、魅音が提案した。
部活の順位を決めたいため、自分達のカレーには点数ではなく順位を付けてほしい、と。
審査員たちは快く了承し、生徒達が食べ終えたあとに順位を発表することになった

沙都子「露伴さん!インド料理なんてできたんですの?
    私にも食べさせてくださいませ。」
圭一「露伴さァァアんッ!食べるッ!オレも食べるッ!食べるんだよォーーーーーーッ!!
   オレに『食べるな』と命令しないでくれェーーーッ!」

部活メンバーの他にも興味をもった生徒達が露伴のところに集まり、露伴の"カレー"は大人気だった。
子供達は上手い不味いと批評しながら、インドの味を楽しんでいるようだった。

レナ「露伴さん、こんなすごい料理作るなんて、どうやって準備したのかな?かな?」
露伴「君達が授業をしてる間にね、車を借りて材料を買ってきたんだよ。
   ただカレーを作るだけじゃ、おもしろくないだろ?」
レナ「みんなすっごく喜んでるよ。露伴さん、やっぱり露伴さんに恋しちゃうかも☆」
露伴「褒めても何もでないぞ。」
レナ「はぅー・・・、やっぱりイジワルだなぁ。」
露伴「ふふ、みんなのカレーを食べに行かないかい?」
レナ「そうだね、そうだね、レナのカレーも食べてほしいな。」

199 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:05:35.24 ID:utujCsjO0
そのあとは部活メンバー集まってのカレー試食会だった。
露伴の"カレー"は生徒と知恵に食べつくされてしまったため、
それ以外のカレーを皆で批評しあう。

圭一「やっぱりレナのカレーには勝てないよなー。」
沙都子「そうですわね、流石にこれには勝てませんわ。
    やっぱりトラップが・・・・。」
露伴「うん・・・、たしかにこれは美味しいな。」
レナ「えへへ、沙都子ちゃんたちのも美味しいよ。
   沙都子ちゃんも料理上手くなったね。」
沙都子「私だっていつまでも料理ができないままではありませんのよ。
    でも、やっぱりダークホースは露伴さんでしたわ。」

200 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:06:14.83 ID:utujCsjO0
魅音「うんうん、露伴さんなら美味しいカレーを作れると思ってたけど、
   インド料理作っちゃうんだもんねー。こりゃおじさんも一本取られたよ。」
圭一「露伴さんのカレー、美味しかったぜ。俺、ナンって初めて食べたよ。」
露伴「圭一君たちのカレーも美味しかったよ。
   すごく『甘くて』美味しかった。ふふふ。」
レナ「あはは、そうだね、魅ぃちゃんたちのカレーはすっごく『甘かった』ね☆」
沙都子「あら?そうでしたかしら。私には普通の辛さでしたわよ。」
梨花「沙都子にもいつか、『甘ーい』カレーを作れる日が来るのですよ。にぱー☆」

梨花はそう言うと、沙都子の頭をなでる。

沙都子「・・・。これも馬鹿にされてるんですわよね?」

部活メンバーの笑いが校庭に響きわたる。
圭一と魅音も顔を真っ赤にしながら笑っていた。

201 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:07:20.37 ID:utujCsjO0
生徒達も食べ終ると、順位の発表があった。

1位は露伴。
審査員は好みは分かれたものの、珍しくインド料理を食べられる機会だったようで、高い評価をしていた。
そして、知恵先生の主張により一位となった。

2位はレナ。
カレーの味だけで言えば、露伴のものより評価は高いようだった。
順当な順位である。

3位は梨花・沙都子。
4位の圭一・魅音と審査員の料理の評価は同等だった。
しかし、同着を許さないということで、年少の彼女達のほうが高い順位となった。

4位は圭一・魅音。
豪華さやカレーの味はよかったものの圭一の皮付きじゃがいもが悪かった。
トータルでは梨花・沙都子と同点だが、上記の理由で最下位となる。

202 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2008/01/07(月) 00:08:09.51 ID:utujCsjO0
圭一「再びかァァーーーッ!!!」
沙都子「圭一さんはこれで3連続部活でビリですわー。
    おーっほっほっほ。」
魅音「くっそー、まさかビリになるとはなー。」
露伴「ふふふ、罰ゲームの取り決めはしてなかったけど、僕が決めていいのかい?」
魅音「だめだめ、ちゃんと取り決めしなかったんだからなしだよ!」

露伴「だが、断る。」

露伴「君達は授業だったかもしれないが、僕は部活だからとわざわざ呼ばれてきてるんだ。
   これで罰ゲームなしってわけには、いかないんじゃあないのかい?」
魅音「・・・わかったよ。」
露伴「ふふふ、じゃあ放課後までに考えておくから、また後で会おうか。」
魅音「あ、私も露伴さんに用があったんだよ。
   うちらが授業終わるまで、待っててもらっていい?」
露伴「あぁ、そのつもりだよ。
   あの先生が帰らせてくれなそうだし・・・・ね・・・。」

露伴は覚悟を決め、職員室へと戻っていくのだった。

CHAPTER20へ
TOPへ