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11 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 15:52:43.84 ID:tp8tHGA10
入江は神社へと到着すると、境内を見渡す。
だが、露伴の姿は見つからない。
梨花と沙都子の家にでもいるのかと思い、そちらへと足を向けた。

梨花達の家につくと、なにやら部屋の中から賑やかな気配がする。
雰囲気からするに、雛見沢の子供たちが集まっているのだろうか。
露伴が中にいるかはわからない。

入江は遊んでいる子供たちに水を差したら申し訳ないな、
なんてことを考えながら戸を叩く。

ドンッドンッ
入江「こんにちわー。梨花ちゃーん、沙都子ちゃーん。
   いませんかー?ご主人様ですよー?」

この家にはインターホンはついていない。
もともと防災用の倉庫だから当然と言えば当然だろうか。
だから、来客は声を張り上げなければいけなかった。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/03/16(日) 15:54:44.17 ID:tp8tHGA10
その入江の声に気づいたのか、子供たちが騒ぐ気配は急に静かになる。
やはり悪いことをしたな、と入江は考えながら戸が開くのを待つことにした。

ガララ

沙都子「お待たせしましたわ。どうしたんですの?監督。」
詩音「はーろろん、です。監督。」
レナ「こんにちわ、監督。」
入江「こんにちわ、沙都子ちゃん、それに詩音さんとレナさんも。
   ちょっと露伴さんに用があったんですけど、おうちの中にいらっしゃいませんか?」
沙都子「あら、露伴さんは朝から出かけてますのよ。
    取材で遠出すると言ってらしたので、いつ帰ってくるかもわかりませんわ。」
入江「そうですかぁ、それは困りましたねぇ。」
沙都子「何か、御用ですの?」
入江「いえ、まぁ、大したことじゃないんです。
   また今度にしますよ。お友達が来ているときにすみません。」
沙都子「あら、全然気になさることないですわよ。」
詩音「そうですよ、おねぇに圭ちゃんも来てますけど、
   あの二人はなおさら気にすることないです。」
入江「それは賑やかですねぇ。お二人にもお邪魔して申し訳ないとお伝えください。」

13 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 15:55:59.25 ID:tp8tHGA10
そう言って入江はすぐに帰ろうとする。
だが、それを詩音が呼び止めた。

詩音「監督。露伴さんに用って・・・なんなんです?」
入江「いえ、本当に大したことではないんですよ。
   露伴さんには私が来たことだけ伝えてもらえれば大丈夫ですから。ははは。」
詩音「怪しいですねぇ・・・。私たちには喋れないことですかぁ?」
入江「いやぁ、沙都子ちゃんのメイド化計画だなんて、
   そんなことは全然考えてませんよぉ。はははは。」
レナ「嘘つき。」
入江「はは・・・へ?」

レナのその唐突な発言に入江が固まる。
図星だったことに加え、レナからこんな冷たい言葉が出てくるとは思いもしなかったのだろう。
だが、レナはそんな様子はなかったかのように明るく言った。

レナ「嘘つきはよくないと思うかな。かな☆」
詩音「レナさん・・・猫かぶっても無理だと思います。」
レナ「何のことかな?かな?猫さんかぁいいよねー。はぅー、おー持ち帰りー☆」

14 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 15:56:32.53 ID:tp8tHGA10
入江「あ、あははは。いやぁ、まぁ大した用じゃないんですよ。
   気にしないでください。」
レナ「梨花ちゃんのこと?それともオヤシロ様の祟りのこと?」
入江「い、いえ、なんのことですか?」
レナ「監督、レナは目でわかるんだよ。嘘ついてるの。」
詩音「あー、そういうことですかー。
   監督、残念ながら私たちもう聞いちゃってるんです。」
沙都子「どういうことですの・・・?」
詩音「監督も私たちの仲間にしちゃうってところですかねぇ。
   さぁ、上にどうぞ。」
入江「・・・。詳しくお聞きしないといけませんね。」

こうして入江は部屋へと上がることになった。

15 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 15:58:21.12 ID:tp8tHGA10
圭一「お、監督。どうしたんです?梨花ちゃんの診察とか?」
入江「いえ、違います。レナさんに呼び止められまして。」
レナ「監督はね、露伴さんに用があって来たんだって。」
詩音「それが今回の梨花ちゃまの件に関わってるって、
   レナさんが見抜いちゃったんで、お呼びしたってことです。」
入江「梨花さん、彼らに話してしまいましたね?」
梨花「話しましたです。そのことは謝りますです。
   ですが、やはり山狗は信用できないということを皆で話したのです。
   僕が相談できるのは皆だけだったのです。許してほしいのです。」
入江「・・・。もう話してしまったものはしょうがありません。
   そして、山狗が信用できないというのもあながち間違いではないのかもしれません。」
梨花「何かあったのですか?入江に僕が殺される話をしたことはないと思うのですが。」
入江「殺される・・・ですか。
   私は露伴さんからそのことを聞きました。
   梨花さんも露伴さんから聞いたんですか?」
圭一「やっぱり、露伴さんも知ってるのか。」
レナ「圭一くん、邪魔しちゃだめだよ。」

16 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 15:59:45.19 ID:tp8tHGA10
梨花「違いますです。露伴とは関係なく、僕は殺されることを知っていました。」
入江「そうですか。私は露伴さんから聞かされました。
   そして山狗が怪しいということも聞きました。」
梨花「露伴が話をしたということは、入江は僕を殺す人間ではないようなのです。」
入江「えぇ、露伴さんにもそう言われました。」
詩音「それじゃあ、私たちの仲間になってくれますよね?」
魅音「監督、梨花ちゃんが殺されたら大変なことになるでしょ?
   私たちもそれを止めたいんだよ。」
入江「そこまでご存知ですか。」
梨花「ボクが死んだあとにどうなるか、詳しくは知らないのですが。
   女王感染者が死ぬと大変なことになるのですよね?」
入江「えぇ・・・。正確には大変なことになるまえに全て処理します。」
圭一「処理ぃ?」
入江「私たちの診療所の危機管理マニュアルとして、緊急マニュアル第34号というものがあります。
   多数の末期患者の発生、及びそれの機密処理部隊の処理能力超過が見込まれる場合・・・。」
圭一「見込まれる場合・・・?」
入江「雛見沢症候群の病原菌を・・・全て滅菌します。」
圭一「・・・?特効薬かなんかでもあるのか?」
詩音「圭ちゃん、治療法はまだないって、さっき梨花ちゃまが言ってたじゃないですか。」
レナ「ひどい・・・。」
魅音「じ、自衛隊の管轄の研究所でそんなことするの・・・?」

17 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 16:01:17.45 ID:tp8tHGA10
入江「通常の発症の多発で機密処理部隊の処理能力を超過することは、
   天文学的確率でしか起こりません。
   ですから、女王感染者の死亡の際にしか適用されないマニュアルなのですが・・・。
   女王感染者の死亡で村人全員が発症すれば、その被害は興宮へも広がります。
   それに加え、末期症状からの回復はまだ方法が確立していないため、
   発症した村人を救うこともできません。悲しいことですが、
   それが被害を最小限に抑える方法なのです。」
レナ「そんな・・・。」
圭一「おい、よくわからないぞ。どういうことだよ。」
魅音「圭ちゃん、治せない病気の菌を全て滅菌するってことは・・・。
   感染してる人を全員殺すってことだよ・・・。」
圭一「ま、まじかよ・・・。」
沙都子「そ、そんな・・・。」
入江「そのような事態を防ぐために、
   山狗のような自衛隊の不正規戦部隊がわざわざ雛見沢に派遣されているわけです。」
梨花「ですが、入江も僕たちも山狗が信用できないという結論でいいのですよね?」
入江「なぜ梨花さん達がそう考えるのか教えてもらえますか?」
魅音「簡単に言うと、梨花ちゃんを殺せるのは、山狗しかいないって話だよ。」
入江「露伴さんと同じ考え方ですね。」
詩音「それに、山狗が味方なら、それでいいんです。山狗が梨花ちゃまを守って一件落着。
   私達は山狗が敵の場合にだけ梨花ちゃまを守ればいい。
   だから、山狗が敵だと思って行動したほうがいいってわけです。」
入江「なるほど、その通りですね。」

18 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 16:02:40.78 ID:tp8tHGA10
梨花「なぜ、入江は山狗を疑うようになったのですか?
   入江が疑うということは、よほどの理由があると思うのですが。」
入江「山狗を疑うというよりは、露伴さんの言うことを信じる気になったという感じなのですが、
   実は、露伴さんに用があって来たのも、そのせいなんです。
   どうやら鷹野さんが生きているようなんです。」
圭一「え?でも岐阜で死んだって聞いたぜ?
   おい、魅音、警察から連絡があったんだよな?」
魅音「う、うん。ばっちゃに警察から連絡が来てたから間違いないはずだけど・・・。」
入江「いえ、その死体の身元確認にミスがあったことがわかったらしいんです。
   先ほど大石さんからお電話を頂いたばかりなので、園崎家にも後ほど連絡が行くとは思いますが。」
詩音「でも、今まで身元確認のミスが発覚しなかったってことは、
   鷹野さんは仕事にも来てないってことですよねぇ?」
入江「えぇ、大石さんが言うには、車と共に行方不明ということになるそうです。」
沙都子「鷹野さんが行方不明だと、何が問題なんですの?
    むしろ、オヤシロ様の祟りは行方不明が普通ですわよ?」
入江「あぁ、これは露伴さんの予言なんですが・・・。
   鷹野さんの死体は偽装死体だ、と一昨日に予言されているんです。
   大石さんはミスがあったと言いましたが、
   そのミスというのが偽装によって起こされたものなら・・・。」

19 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 16:04:15.03 ID:tp8tHGA10
レナ「そして、偽装は山狗の得意分野、なんだね。
   さっき、機密保持部隊って言ってたの、山狗のことだよね?」
入江「その通りです。」
圭一「つまり、鷹野さんが死んだフリをしていて、山狗と一緒に梨花ちゃんを狙ってるってことか。」
魅音「まぁ、絶対とは言い切れないけど、かなり怪しいってことだね。」
詩音「私は、露伴さんの存在も十分怪しいと思いますけど・・・。」
圭一「まぁ、たしかに。予言って・・・どういうことだ?」
入江「露伴さんは、富竹さんと鷹野さんが死ぬことも予言しています。
   綿流しのお祭りの前に、そういう内容の手紙を渡されました。」
沙都子「ろ、露伴さんは悪い人ではありませんわ!」
詩音「さ、沙都子・・・。」
沙都子「みなさんは知らないかもしれませんが、露伴さんは私を助けてくれたんですのよ。
    私の叔父を、追い払ってくれたんですの。その露伴さんが、悪い人なはずありませんわっ!」
圭一「そうだな、俺もそう思うぜ。
   露伴さんはたしかに不思議な雰囲気を持ってるが悪い人じゃあねぇ。
   何か今回の件について知ってるとしても、俺達の敵じゃあないはずだ。」
梨花「露伴は、僕達の敵ではないのです。これだけははっきり言えるのです。」
詩音「まぁ、いろいろ知ってそうですが、梨花ちゃまを殺すならもう殺してますよねぇ。」

20 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 16:05:11.43 ID:tp8tHGA10
レナ「そうだね、露伴さんは敵じゃないと思うかな。
   それで、監督も私達の敵じゃないんだよね?」
入江「えぇ、話が戻りますが、私もあなた達に協力します。
   本当はあなた方を巻き込みたくないのですが、
   ここまで知っていては止めても無駄でしょう。」
沙都子「監督・・・。」
魅音「この部活メンバーの命を狙うなんて、身の程知らずって思い知らせてやるよっ!」
詩音「ふふふ、こりゃあアメリカで受けた訓練が役に立つ時が来たかもしれませんねぇ。」
圭一「いや、これは梨花ちゃんを守るだけの戦いじゃねぇぜ。
   雛見沢に住む人間全員を守る戦いでもあるってことだ!!」
レナ「そうだね、絶対にそんなことさせるわけにはいかないよね。」
入江「みなさんに機密情報を漏らしたことは、私が責任を取りましょう。
   事態が解決してから、東京にしっかり話を通します。」
圭一「よし、それじゃあ監督も入れて、作戦会議続けるぞぉーッ!!」
一同「おぉぉーーーッ!」

21 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 16:06:24.89 ID:tp8tHGA10
露伴と大石、熊谷の車は興宮署を出て雛見沢へと向かっていた。
大石たちは露伴を送るついでに入江診療所へと向かうそうだ。
岐阜での一件が終わってから、露伴は大石たちにほとんど返答をしない。
まるで用済みになった人間の相手はしないとでも言うような態度だ。

大石「岸辺さん、もう雛見沢に着いちゃいますよぉ?
   何か話してくれませんかねぇ。まだ何か知ってるんでしょ?私らが知らないこと。」
露伴「・・・。」

大石の言葉どおり、車はガクンと揺れ、砂利道へと入る。
この舗装道路と砂利道の入れ替わりがまさに興宮と雛見沢の境目のようなものだ。

大石「またあれですか、今の私には教えられないってやつですかぁ?」
露伴「そうだ。"今のアンタ"に教えることはもうないよ。悪いけど。」
大石「わかりましたよ。それじゃあ、予定通りあなたを餌に祟りの主を釣り上げることにします。」
露伴「オヤシロ様は、僕なんかじゃあなくてシュークリームを餌にしたほうがいいぜ?」
大石「シュークリーム?それはヒントか何かですか・・・?」
露伴「ふふふ、どうだろうねぇ。」

22 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 16:07:19.64 ID:tp8tHGA10
熊谷「シュークリームより、なんか腹にたまる物が食いたいッスねぇ。」
大石「そうですねぇ。もうすぐ8時ですかぁ。
   入江の先生のお仕事があがりでしたら、一緒にお食事でも行きますかねぇ。
   岸辺さんもどうです?ご一緒に。楽しいお店でも行きませんかぁ?」
露伴「いや、僕は多分食事が用意されている。遠慮するよ。」
大石「あら、そうですかぁ。ひさしぶりに公費で遊べると思ったんですがねぇ。」
露伴「・・・。」

大石「ッ・・・。」

大石が車の外に視線をやり、なにかを気にする。

大石「熊ちゃん。ちょい停めて!」
熊谷「え?あ・・・はいっ!」

熊谷が急ブレーキで車を停める。
後部座席でシートベルトをしていなかった露伴は、
前の座席のシートに顔をぶつけた。

露伴「ッ。おい・・・なんだよ急に。」
熊谷「どうしたんですか?大石さん。」
大石「あの車・・・なぁにやってんですかねぇ。こんなところで。」

23 名前: ◆rp2eoCmTnc [sage] 投稿日:2008/03/16(日) 16:08:35.90 ID:tp8tHGA10
大石が首をせり出して覗く視線の先にはバックミラーがあった。
露伴からは角度的に見えなかったが、そこにはワゴン車が一台映っていた。

熊谷「たしかに、不審ですね・・・。気づきませんでしたよ。」
露伴「おい、なんだよ、見えないぞ?」

露伴も前のシートのほうへと顔をせり出してミラーを覗く。
たしかに一台の不審な車が路肩に停車しているのが見えた。

大石「あー、興宮SPどうぞー、聞こえてますかぁ?なっはっはっは、こんばんはさようなら。」
『こちら興宮SP、感度良好です。どうぞ。』
大石「ぇーっとぉ、車両ナンバー照会をお願いします。XX,XのXXXX。」
『復唱、XX,XのXXXX。少々お時間をもらいますよー。』
大石「はいはい。」
露伴「なんだよ、車一台っぽっちでそんな大騒ぎするのか?」
大石「警察は市民の安全を守るのが仕事ですからねぇ。
   市民のみなさんが気づかないところでこういう仕事もしてるんですよぉ?」
熊谷「地図だと、電電公社の施設がありますね。でも、ワゴンには何も書いてないっすよ。」
露伴「委託業者かなんかじゃあないのか?」
大石「直接聞いたほうが早そうですねぇ。ちょっくら行きますか。」
熊谷「了解っす。」
露伴「職務質問ってやつかい。おもしろそうだな、取材させてもらおう。」

こうして3人は車を降りる。
この時は露伴ですら、これが終わりの始まりだとは気づいていなかった。
終末の幕開けだということに。

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