241 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:31:16.71 ID:mygTnphE0
??「ただいま帰りましたわー。
   梨ぃ花ぁ、この靴はどなたの靴ですのー?」

露伴と梨花がお互い嫌味を言い合っていると、突如声が聞こえた。
沙都子が帰って来たに違いない。
どたどたと階段を登り、部屋へと入ってくる。

沙都子「梨ぃ花ぁ、いるならお返事しなさい・・・
    あら、お客様がいらしたんですか、失礼しましたわ。」
露伴「いや、勝手にお邪魔してすまない。
   僕は岸辺露伴だ。漫画家を目指している。」
沙都子「露伴さんと言いますのね、私は北条沙都子。
    梨花の友達で、一緒に住んでるんですわ。」

242 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:32:07.42 ID:mygTnphE0
露伴「あぁ、知っているよ。今日泊めてもらう約束をしたからね。」
沙都子「ちょっと梨花ぁ、私に相談もなく決めないでくださいまし。
    梨花と露伴さんはどういったお知り合いですの?」
露伴「あぁ、漫画の取材でね雛見沢を取材してるんだよ。」
梨花「さっき取材してる露伴に会ったのです。
   露伴は泊まるところがなくてかわいそかわいそなのです。
   僕が泊めて上げないと風邪ひいてがくがくぶるぶるなのですよー。にぱー☆」
露伴「(なんだ、このキャラの変わり方は・・・。
    猫をかぶるってレベルじゃないぞ。)」
沙都子「事情はわかりましたわ。
    ですが、知り合ったばかりの殿方を泊めるというのは・・・。」

245 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:34:32.08 ID:mygTnphE0
露伴「あぁ、そうだよな。
   これから夜までの間に沙都子ちゃんが僕を信用できなければ追い出してくれてかまわないよ。」
沙都子「いえ、追い出すなんてことはしませんですわよ。
    ただ、梨花が私に相談もせずに決めたのを責めているんでございますわ。」
露伴「まぁまぁ、とりあえず僕も信用してほしいしね。
   なにかお話でもしようよ。」
沙都子「そうですわね。
    雛見沢の外から来た方のお話を聞くのもおもしろそうですわ。
    漫画家さんってことは、なにか漫画描いていますの?」
露伴「いや・・・。僕はまだ見習いでね。
   有名な先生の手伝いとかしかしたことがないんだよ。
   今度雛見沢で取材したことを漫画にして投稿する予定さ。」
沙都子「雛見沢を取材しても面白い漫画なんて描けるんですの?
    もっと外国とかに行ったほうがいいんじゃありませんこと?」
露伴「いやいや、外国もいいけどね。
   こういう田舎の村をテーマにした漫画だって面白いものがかけるはずさ。」
   
   247 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:35:20.72 ID:mygTnphE0
沙都子「ふーん、よくわかりませんわねぇ。
    露伴さん絵は上手いんじゃあありませんこと?何か描いて下さいまし。」
露伴「あぁ、いいよ、沙都子ちゃんはどんな漫画とかアニメを見るんだい?」
沙都子「そうですわねぇ。最近だとレディジョージとか見ますわよ。
    男の子向けだとダンバインとかやってますわ。」
露伴「じゃあ両方描いてやるよ。なにか紙と描く物はあるかい?」
沙都子「この落書き帳でよければ使ってくださいまし。
    描く物は私の筆箱の中身なら使ってくださって結構ですわよ。」
露伴「じゃあ、まずはレディジョージかな。
   アベルとジョージィでいいかい?」

そう言うと露伴はあっというまに描き上げてしまう。
とても当時の漫画家が描くとは思えないほど描き込まれた繊細な絵だった。

248 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:35:44.56 ID:mygTnphE0
沙都子「まぁ、素敵ですわねぇ。すごく綺麗ですわ。
    もしかして露伴さん、すごい人なのではありませんこと?」
露伴「ふふふ。将来は売れっ子漫画家になるんだよ、僕は。次はダンバインかな。」

そのあとも露伴は何枚も絵を描き、沙都子を喜ばせた。
沙都子はすっかり露伴が気に入ったようで、露伴の肩に抱きつきながら絵を描く様子を見ていた。

羽入「ロハンと沙都子は仲良しになれたのです。
   よかったのですよ。梨花もロハンと仲良くしてくださいなのです。」
梨花「あいつが猫をかぶるのがうまいだけよ。避けたりはしないけど、仲良くするのも無理ね。」
羽入「あぅあぅ。」

266 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:08:22.37 ID:mygTnphE0
沙都子が露伴を気に入り、絵を描かせているうちに夕方になっていた。
すでに梨花は夕食の用意を始めていた。
さすがの露伴も子供をあやしながら絵を描くのは疲れたらしい。

露伴「沙都子ちゃん、そろそろ疲れたから休んでもいいかい?」
沙都子「まだまだだめですわよ。もっと可愛い絵を描いて下さいまし。」
露伴「おいおい、もうらくがき帳も鉛筆も大分減ってきちゃったぞ?
   今日はこのくらいで勘弁してくれよ。」
沙都子「んー、まぁ、仕方ありませんわね。
    雛見沢にいる間に私のためにいっぱい絵を描いて下さいまし。」
露伴「あぁ、今日以外で暇なときなら、いつでもいいよ。」

沙都子は露伴の背中から降りると、らくがき帳と筆箱を片付け始めた。

267 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:10:16.85 ID:mygTnphE0
沙都子「露伴さんが雛見沢に来たのは今日からですの?」
露伴「あぁ、そうだよ。今日、こっちに来て神社を取材してたら梨花ちゃんと会ったんだよ。」
沙都子「そうなんですの。それじゃあまだまだいるんですわよね?」
露伴「あぁ、まだあと2週間ちょっとはこっちにいようと思うんだ。
   泊まる場所が決まっていないから、そんなに長くいられるかもわからないけどね。」
沙都子「あらあら。大丈夫ですわよ。
    いつまででも私たちの家に泊まっていってくださいまし。
    ねぇ、梨花ぁ?」

沙都子が台所に向かって話しかけるが、梨花は聞こえないフリをした。

269 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:12:09.04 ID:mygTnphE0
露伴「いやぁ、僕も沙都子ちゃんと遊べるのはうれしいんだけど、ずっとお邪魔になるのは悪いしね。
   明日は村で泊まれる場所を探してみようと思ってるんだよ。」
沙都子「そうなんですの。残念ですわね。
    それでしたら、明日は日曜日ですから私が村を案内しますわ。
    私の友達に圭一さんという方がいるのですけれど、
    みんなで圭一さんに村を案内することになっているんですわ。
    露伴さんもぜひ来てくださいまし。」
露伴「へぇ、案内してくれるのはありがたいんだが、いいのかい?
   友達みんなで行くなら、僕が混ざると迷惑だろう?」
沙都子「そんなことありませんわ。
    みんな露伴さんが絵を描けば、あっというまに露伴さんの虜ですのよ。
    ぜひ一緒に来てくださいまし。」
露伴「うーん。そう言ってくれるのは嬉しいんだけど。
   梨花ちゃんもそう言うなら行くかなぁ?」
沙都子「もちろんいいですわよね?梨花ぁ!!」

270 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:13:48.83 ID:mygTnphE0
梨花「僕も賛成なのです。人数は多いほうが楽しいのですよ。にぱー☆」

さっきは聞こえなかったはずなのに、梨花が返事をしてきた。
沙都子は嬉しそうな顔をして、再び露伴の背中に抱きついた。

沙都子「決まりですわねっ。明日は露伴さんも一緒に遊びますわよぉ!!」
露伴「ははは、わかったよ。案内よろしく頼むよ。」
沙都子「お任せなさいですわ。村中どこでも案内しますわよ。
    裏山だって、露伴さんになら全部ご覧にいれますわぁ。」
露伴「おいおい、僕はあの靴しかないんだぜ。山は遠慮してくれよ。」
沙都子「それもそうですわね。山はまた今度案内しますわ。
    明日は、みんなでお昼を食べる予定ですのよ。
    私の友人のレナさんという方がいましてね・・・」



沙都子はそのあとも嬉しそうに露伴に話し続けるのだった。
沙都子が眠るまで露伴が開放されることはなかった。
278 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:33:42.82 ID:mygTnphE0

■TIPS

----沙都子の気持ち----


露伴「ふぅ・・・やっと寝たか。」
沙都子を寝付かせるのに露伴はかなり苦労した。
露伴は子供の相手をするのは苦手だったのでその疲労も一際だ。

羽入「ロハン、沙都子と仲良くなれたのですね。」
露伴「仲良くなったってわけじゃない、この子が勝手に懐いてるだけだよ。」

露伴は沙都子と梨花を起こさないようにスタンドで羽入と会話する。

279 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:35:14.26 ID:mygTnphE0
露伴「まぁ、子供は嫌いだったけど、懐かれて嫌な気はしないな。」
羽入「沙都子は、多分とても喜んでいるのです。」
露伴「そりゃあ見てればわかるよ。
   やっぱりいつの時代も子供は漫画が好きなんだな。」
羽入「それもあるのですが・・・。
   沙都子は村の大人達に相手にされないのです。」
露伴「ん?どういうことだ?」
羽入「北条家が村の敵と言われていたのは知っていますですか?」
露伴「あぁ、簡単にはね。だけど、この子の両親は死んだし、おばも殺されたんだろう?
   この子には何も罪はないだろ。」


280 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:36:31.86 ID:mygTnphE0
羽入「だけれど、村での北条家の差別は続いているのです。
   村で沙都子に話しかけてくれる大人は、学校の先生と入江や富竹くらいしかいませんのです。」
露伴「それは、知らなかったな。不憫な子だ。」
羽入「はい・・・。そうなのです。
   だから、沙都子は露伴が自分と話をしようと言ってくれて嬉しかったのだと思います。
   沙都子にとって、露伴は初めてできた大人の友達なのだと思います。
   だから、これからも沙都子とは仲良くしてやってほしいのです。」
露伴「僕が友達、ねぇ。
   僕は取材に来たのであって、友達を作りにきたんじゃないぞ?
   それに、真相を暴いてほしいんだろ?」
羽入「わかっているのです。
   だから、暇なときだけでいいのです。
   沙都子と仲良くしてあげて欲しいのです。」
露伴「・・・。」

281 名前: ◆rp2eoCmTnc [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:37:34.33 ID:mygTnphE0
沙都子「むぅ・・・ん・・・にーにー・・・。
    ・・・露伴さんが・・・絵を・・・んぅ・・・。」

露伴「まぁ、その話は覚えとくよ・・・。」
羽入「ありがとうなのです。明日は、村のみんなとも仲良くしてあげて欲しいのです。」
露伴「あぁ、明日は竜宮礼奈や前原圭一と会えるみたいだからな。
   言われなくても仲良くするさ。」
羽入「それじゃあ僕も寝るのです。おやすみなさいなのです。」
露伴「あぁ・・・。」


露伴は沙都子の寝顔を眺めてみる。
こんな子供が、二人で生活してるのか・・・。
大の大人がこんな子供に差別をしてるなんて、僕は好きになれそうにないな、この村。
露伴はそう思いながら沙都子の寝顔を見ていると、意識が遠のいていくのだった。


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